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ビッグレッドF、社台S種牡馬展示会

  • 2009年02月17日(火) 23時00分
 2月に入ると急に生産地は慌しくなる。種牡馬展示会や各町ごとに組織されている軽種馬生産振興会(生産者団体)の総会が連日のように続くからである。

 先週この欄でご紹介したダーレー・ジャパンに続いて、12日(木)には新冠町のビッグレッドファームで、そして17日(火)には安平町の社台スタリオンでそれぞれ種牡馬展示会が開催された。

 この時期、天候に恵まれるかどうかはその時々の運で決まる。12日のビッグレッドファームは、小雪の降る中で始まり、途中から日が差す天候。新種牡馬は青森から移動してきたメジロベイリー(父サンデーサイレンス)のみだが、アグネスデジタルやステイゴールド、ロージズインメイなど全部で11頭が次々に紹介された。

ビッグレッドファーム展示会風景

 日高各地からこの日集まったのは約300人ほどであろうか。それぞれ種牡馬パンフレットと帽子の入ったピンク色の紙袋を手に、熱心に展示を見守った。

 派手な飲食サービスやグッズなどが用意されているわけではないが、その分だけここはより実質的な種牡馬展示会でもある。淡々と1頭ずつの種牡馬が紹介され展示会は約30分程度で終了。その後、敷地内にある坂路コースに移動しての「公開調教」が披露された。

 アドマイヤマックス産駒2頭、マイネルセレクト産駒2頭、ロージズインメイ2頭、計6頭(いずれも牡馬)の2歳馬が併走馬とともに坂路を駆け上がる様子が公開され、見学する生産者たちは、それぞれ今年の配合を考える際の参考にしようとこの調教風景を注視していた。

ロージズインメイ

 またビッグレッドファームでは「割引券」を発行するなど、様々な繁殖牝馬獲得作戦を展開している。サラブレッドの生産頭数が近年漸減傾向にあるのは確かで、どこの種馬場でもいかに顧客(配合牝馬)を確保すべきか知恵を絞っている。ともあれ、鍵を握るのは大将格のロージズインメイで、今年初年度産駒がデビューする。そこそこの競走成績を残しているアグネスデジタルやステイゴールドなどよりも高額の400万円という種付け料を維持できるかどうか注目したい。

 続いて17日(火)には、社台スタリオンの展示会が行なわれた。日高は早朝より晴天に恵まれたが、ここ安平町早来ではあいにくの雪に見舞われた。この日、千歳空港では欠航便が相次いだほどで、悪天候に祟られたせいか、今年は例年に比べると見学者が少なかった印象だ。

 今年の社台スタリオンの新種牡馬は4頭。最初にメイショウサムソン、続いてチチカステナンゴ、アドマイヤジュピタ、アドマイヤメインの順で来場者にお披露目された。

アドマイヤジュピタ


アドマイヤメイン


チチカステナンゴ

 降りしきる雪のため撮影にも苦労するほどだったが、続々と登場する社台スタリオンの種牡馬たちは、とにかく圧倒的な質と量である。

メイショウサムソン


メイショウサムソン

 驚いたことに、メイショウサムソンは今月に入り、すでに9頭の交配を済ませている由。この日も2頭の予約が入っていたようで、リーズナブルな価格(受胎条件で250万円)でもあり、非サンデー系の血脈でもあることから、この分では配合頭数がかなり多くなるのではなかろうか。

 種牡馬の成功への第一関門として、近年はまず社台スタリオンに繋養されることがほぼ必須条件になりつつある。日高にももちろん多くの種馬場が点在しているが、昨年の中央競馬で行なわれた平地GI競走は、社台スタリオン繋養種牡馬(元を含む)産駒の“完全試合”に終わった。サンデーサイレンス亡き後、種牡馬の世界は一気に群雄割拠の時代へ移行するだろうと言われながらも、社台への一極集中は変わらない。アグネスタキオンを筆頭に、社台スタリオンの種牡馬ラインナップは今年も相変わらず磐石である。

 なお、この後、19日(木)にはブリーダーズスタリオン、20日(金)にはJBBA静内種馬場とアロースタッド、レックス、23日(月)には優駿スタリオン、24日(火)にはイーストスタッドと、展示会が続く。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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