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皐月賞を終えて、ダービーへの展望

  • 2009年04月20日(月) 17時00分
 皐月賞はアンライバルドが制しました。それにしても直線で抜ける時の脚は速かったですね。まさに「飛んでいる」ようにすら見えました。抜ける時に使う一瞬の脚はディープインパクトのそれよりも速いんじゃないかと思いました。

 この走りができる要因は、脚の軽さと筋肉やツナギの柔軟性、それに関節の稼動域が小さいことに関連していると思います。

 サンデーサイレンス系の強い馬は、たいていの場合は柔軟な体から繰り出される「広いストライド」で速い脚を使うわけですが、この馬に関しては「異常に速い回転」でその末脚を繰り出すのです。また、速い上に手先が柔軟なので、ドタドタした走りにもならずバネも十分に利いています。

 新馬戦のレース振りを見た時にも異常に抜けるのが速いと書きましたが、その走りができるのはこのような馬体の造りからきているわけです。また、完成度がまだまだ低い馬ですが、溜めて瞬発力を生かせるようになったのはやはり気性面の成長が大きいと思います。若駒S時に入れ込みが激しくてロクに歩けなかった馬が、前回のパドックあたりからちゃんと歩けるようになっていました。

 返し馬やレースでは一歩間違えば暴走してしまう危険性ははらんでいますが、その辺りは鞍上が良く手の内に入れていて、キッチリと溜めきる事ができています。これらの要因がいくつも重なって、今回のあの瞬発力を生み出したわけです。

 次はダービーになりますが、溜めきる事ができればその条件でも好走は可能でしょう。ただ、ストライドが伸びない分、府中の2400mよりは今回の中山2000mの方が向いているのは確かでしょう。あれだけの脚を使ったのでかなり人気が集中しそうですが、次に関しては過信は禁物だと思います。

 他の馬についても次への展望をしておきます。

トライアンフマーチ
 週頭の競馬ブックの写真を見ていて、一番良く見えていました。シルエットがはっきりしてきましたし、体の造りもしっかりしてきました。その時にブログで書いている馬体診断に、「皐月賞よりもダービー向き」と書いていたように、距離延長はもちろんの事、広いコースに舞台が替わるのも歓迎材料です。もう一段と馬体に実が入ってくれば、ダービーでも上位争いをする事は可能でしょう。

リーチザクラウン
 間隔が開いた分、若干筋肉の張りが足りなかったように思えます。入れ込みもあって、発汗も目立っていました。それに返し馬では完全に掛かっていて、それがレースでもモロに出てしまいました。体型的には長い方が良い馬なので、ダービーでの返し馬の折り合いには要注目です。折り合っているようなら巻き返すでしょう。

ロジユニヴァース
 正直あそこまで負けるとは思いませんでしたが、今回は強い調教が足りていなかったことが、あの激流で伸び切れなかった要因の一つだと思います。それにコントロールは凄く利きやすい馬ですが、全てのパーツが長いので、決して器用な馬ではありません。条件的には府中の2400mの方が断然合っているでしょうし、次走はもちろん勝ち負けに持ち込めるはずです。巻き返しに期待。

セイウンワンダー
 今回は想像していた通りキッチリと絞れていましたし、筋肉の張りや質感も良くなっていました。ただ、返し馬では頭を上げて、若干掛かり気味になっていました。レースでも軽く掛かっていましたね。そのあたりを考えると、現状ではダービーに向かうよりはマイルCに向かった方が良いんじゃないかと思います。

ゴールデンチケット
 予想外に良くなっていました。肩周りやトモの筋肉もしっかりしていましたし、背中のラインもキッチリと決まっていました。レースではハナを切って、激しいペースに巻き込まれましたが、直線で一旦伸びた辺りはかなり評価しても良いと思います。マイルCに行くようならチャンスはあるんじゃないかと思います。

フィフスペトル
 コロンとした体型ですし、筋肉量もこの距離を走るには多過ぎます。現状マイルの方が良いでしょうし、マイルCに向かうようなら当然有力候補の一頭になるでしょう。


 ダービー組とマイルカップに行った方が良い組で完全に分かれたと思いますが、今年は別路線からくる馬にも注目した方が良さそうな気はします。その辺りを踏まえながら一連のトライアルを良く観察しておいた方が良いでしょう。

【次走の激走候補】

トーワヒヨシマル(中山GJ 12着)
 馬体のバランス、実の入りが良く、毛ヅヤも良く見せていた。状態としては素晴らしかったと思う。道中で飛越などの際に何度かぶつけられていたし、あのタフなコースも現状ではきつかったようだ。京都や阪神の障害コースならすぐに巻き返すだろう。

ナカヤマフェスタ(皐月賞 8着)
 今回は休み明けでの出走となり、最後まで息が持たなかった感じ。返し馬の動きを見てもかなり走る馬だと思うし、重賞で連続好走してきた実績は伊達ではないと思う。距離的には現状ではあまり長くない方が良さそうで、次走はマイルくらいの距離ならチャンスは十分にあるだろう。

サインオブゴッド(卯月S 5着)
 馬体はマズマズできていたし、それに返し馬での動きがしなやかで目立っていた。レースでは内枠を引いたので好位で脚を溜めてくれると思っていたが、予想に反してかなり後方からの競馬。逃げた馬が突き放している展開だけに、ポジションを取ればもう一歩前にいたと思う。ただ、府中に使うなら今回の競馬をしたことが生きてきそうだ。



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中央競馬で全レースのパドック・返し馬を徹底観察。繋(つなぎ)や蹄、体型、骨量、筋肉の量・質、関節の柔軟性や、脚元、馬具などのデータを採取。そこから競走馬の能力、適性などに加え脚質も見抜き、馬券を組み立てる。パドック派にありがちな本命予想ではなく、複勝で10倍を超えるような穴馬を見つけるのが得意。

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