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ラジオNIKKEI杯2歳S

  • 2009年12月25日(金) 12時59分
 2000年のアグネスタキオン、ジャングルポケット、クロフネを筆頭に、昨08年のロジユニヴァース、リーチザクラウン。ほとんどの年の上位馬が翌年のクラシック、さらにはビッグレースの路線と結びつくようになったこの2000mの重賞。

 重賞競走の乱立も、同時にGIの乱立も避けなければならないが、朝日杯FSが1着賞金6300万のGIで、このレースは3200万のGIII。どちらの重要度が高く、価値あるレースなのか。あるいは価値が認められたかは、それは年によって異なるから難しいが、距離もコースも大きく異なる2つのレース。同格のレースだったら…と思うことが多い。

 00年など、「最優秀2歳牡馬」は異論も見解の相違もなく、シアトルスルー(実績は3戦3勝にすぎないが1976年の米2歳チャンピオンだった)と同様の理由でアグネスタキオンかと思えたが、ただ1つのGI格を制したメジロベイリーの圧勝(投票数)だった。

 理由は「GIを勝ったのはこの馬だけじゃないか」。その通りではあるから反論しなかったが、本当はそういうことではない部分の方が大きいと考えたい。1つしかない牝馬GI格を制した牝馬と、朝日杯FSを勝った牡馬が自動的に2歳チャンピオンでは、権威も価値も軽いだろう。

 たとえば今年、人気のヴィクトワールピサが圧勝して4戦3勝となったり、2連勝のサクラエルドールが快勝して3戦3勝となったとき、朝日杯のローズキングダムと票が分かれて、さて「2歳チャンピオンはどっちだ」。見解や意見が分かれてこそ、後年、本当の価値が生まれることもある。自動的に…は、だいたいの場合、「形式」と同意である。

 未知の部分が多い2歳戦。前振りばかりで申し訳ない。有馬記念の前日、まして2歳戦だから、必見ではあってもまあそうムキになって買いに走るレースでもないだろう。

 いまから攻め馬のやりすぎではないかと思えるほどビシビシ乗っているサクラエルドールに期待したい。楽々と勝ってきた内容と、早くも2000mで2回も2分01秒台を記録しているレースぶりはヴィクトワールピサだが、並んで追い比べに持ち込むなら決して見劣らないだろう勝負強さを認めたい。

 前回の「百日草特別」でも、先頭のアースガルドに並びかけてのストライドが強烈だった。体つきは皐月賞2着だった父サクラプレジデントに非常に良く似た部分がある。現時点での完成度は他馬に比較して高い。父はその皐月賞でヴィクトワールピサの父ネオユニヴァースに負けているが、デムーロ騎手がそれこそ絶妙に乗って差は「アタマ」だけ。2000mの適性はほとんど互角だった。息子の雪辱は十分にある。サクラエルドールの母は、サクラローレルの半妹でサクラユタカオー産駒。このあとの成長力にも大きく期待していいだろう。

 もちろんヴィクトワールピサが強敵だが、調教快走のヒルノダムール。今週の追い切りで苦しくなってから、猛然と闘志を奮い立たせて先着のタニノエポレット(なぜかデムーロ騎手)が最大の穴馬。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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