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ばんえいナイター開幕

  • 2010年06月23日(水) 00時00分
 帯広競馬場で6月19日(土)より今年度のナイター競馬が開幕した。

 2007年度より新体制に移行して今年で4年目。ナイター競馬も同じく4年目に突入する。

 久々に帯広を訪れた。3月末のばんえい記念以来である。この3か月足らずの間に、駐車場とスタンドの間が塀で遮断され「とかちむら」(観光交流拠点施設)建設が急ピッチで進められている。オープンは7月下旬予定とのことだが、一刻も早い完成が待たれるところ。

 入場門はこの工事現場を大きく迂回したところに設置されていた。

 日曜日(20日)午後の帯広競馬場は、予想していたほど混雑していなかった。気温は20度ほど。曇っているものの競馬観戦には快適な気候であるにもかかわらず。ナイターにはまだ時間があるせいかスタンドは空いていた。

 3年前のばんえい初ナイターの時には、かなり盛り上がった。データを見ると、初日には2424人が競馬場を訪れ、8725万円を売り上げた。その翌日の日曜日には売り上げが1億円を超えた。大賑わいであった。

 以来、3年が経過し、今年で4年目のナイターに突入する。話題性に新鮮味がなくなってきたのか、どうも活気に乏しい風景になりつつある。待望のナイター競馬を楽しみに来場した方々がどれくらいいるものか。

(写真・スタンド風景) 

 さて、この日のメーンは「旭川記念」。今年度の古馬重賞第一弾で、フクイズミ、カネサブラック、ニシキダイジン、ナリタボブサップなどの強豪が顔を揃えた。

 発走は午後8時。ナイター開幕を飾る注目の一戦なので、さぞ取材陣も大勢押しかけているものと覚悟したのだったが、何とゴール前に現れたカメラマンは地元紙の二人と私だけであった。

 レースはいち早く第二障害を越え先行したニシキダイジンをカネサブラックとフクイズミが追う展開。最後の直線で、怒涛の追い込みを見せたフクイズミが二頭をまとめて差し切り、このレースを連覇した。

(写真・フクイズミ) 

 9歳芦毛の牝馬で、松井浩文厩舎所属。尾ヶ瀬馨騎手騎乗。これで実に51勝で重賞は9勝目となり、勝利騎手インタビューの際に矢野吉彦アナが「ばんえい界のウオッカ」とこの馬を評していた。

(写真・口取) 


(写真・インタビュー) 

 最終レースの頃になってから帯広は雨が降り出し、やがてかなり雨脚が強くなった。どうにかギリギリのところで大半のレースを終えることができたのは幸いであった。

 とはいえ、今年度に入ってから、ばんえいは昨年以上に苦戦の連続である。この日の入場人員は1727人。売り上げは7282万2800円。ちなみにナイター初日となった19日(土)は、1258人の入場で5681万9900円。21日(月)が1001人、6943万円。

 6月15日までの段階で、今年度のばんえい競馬は計画比で1割減、前年比でも8.45%の大幅な売り上げ減少という。

 この原因はいろいろあると思うが、帯広市の単独開催に踏み切ってから、年を追うごとに徐々に失速してきている印象が強い。どのような戦略を展開すれば再び活気が戻るのであろうか。ばんえい関係者の苦悩はかなり深いようだ。

 「競馬場の前を幹線道路が走っていますが、せめて道路から競馬場の中を見た時に、何か賑やかなことをやっているなあという印象を持っていただきたいですね」と語るのは服部義幸調教師である。

 「スタンド裏が現状ではかなり殺風景な場所になってしまっていますが、ここで何か人がもっと集まるようなことをやりたいと思います。競馬は道路からだとスタンドの向こう側でやっていて見えないんですよ。こういう裏側の風景だけを見せられてはあまり魅力を感じない人も多いような気がしますね」とも語る。

(写真・スタンド裏) 

 この先7月下旬にオープン予定の「とかちむら」に期待がかかるわけだが、最終的には、このエリアを訪れた人々に競馬場内に入ってもらい、なおかつ馬券を購入してもらうのが最終目標である。

 それにはどのような方法が考えられるか。ここは我慢のしどころであるとともに知恵を出さねばならない。

 どこの地方競馬でも同じことだろうとは思うが、ばんえい競馬もまた実質的に地元の十勝管内に住む人々が入場者の8割を占めている。ばんえいを生かすも殺すも、地元の人々の奮起以外にないのである。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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