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馬体重(2)

  • 2010年06月30日(水) 16時00分
 先週は馬体重が生命のバイオリズムを表すという話を書いた。

 馬体が増えるということと、減るということの意味をここでは考えていきたいと思う。

 まずは増えるケースだが、馬体が増える原因として考えられるのは、

1.生命力が充実している。
2.飼い葉が増えて太っている。
3.調教が満足に出来ない状態。
4.人為的な調整、ないし調整ミス。
5.走ることに対して気持ちが向いていない。

 という5つが主なものになる。

 では、1のケースから考えてみよう。

 生命力が充実して増えてくる形には、主に2つのパターンがある。

 1つめは放牧などで、気持ちをリフレッシュし、生命力が漲っている状態だ。そうなると自然に馬体は増えてくる。特にトップクラスになると、ぎりぎりのしのぎ合い、力をある程度出し切らないといけないので、馬体重の影響は出やすくなる。

 例えばエプソムCサンライズマックス。休み明けで10キロも馬体が減っていたので、6番人気で12着に惨敗した。それまでの戦績や条件から、展開が向かないとかの理由でも、6着前後に負けるのが普通の馬で、この12着という惨敗は、単純に馬が走ることを放棄してしまったことを意味している。

 同馬の場合、今回を含めて6回休み明けを走っているのだが、1回目は4キロ増で1番人気1着、2回目は増減なしで5番人気10着、3回目は8キロ減で8番人気14着、4回目は8キロ増で7番人気1着、5回目は2キロ減で6番人気5着、そして今回が10キロ減で6番人気12着だった。明らかに走ることを放棄したのが、2回目の10着、3回目の14着、そして今回の12着になる。1回目は増減なしだったが、他の2回は8キロ以上の減少だった。逆に7番人気1着のときは、8キロ増と、休み明けで気持ちが充実し、リフレッシュに成功していたと言える。

 休むというのはリフレッシュが最大の目的であり、走ることをある意味、忘れさせるのが重要なのだ。臨戦態勢に入りすぎると、リフレッシュの意味がなく、またこの戦場に戻ってきたのかと、走ることに嫌気が差してしまう。

 ところで、どうしてこのサンライズマックスを例に選んだのかと言うと、エプソムCの前に、陣営が「馬体重を今回は絞ってきた」という旨の発言をしていたからだ。

 その理由は、休養前が450キロ台で太目だったので、キレを欠いたということだった。確かにこの馬は440キロ台で好走している。休養前は太目だったのだろう。

 ただ、これは飽くまで物理的に太かったのだ。


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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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