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馬体重(6)

  • 2010年07月28日(水) 15時00分
 馬体重がいかに容易で、しかも馬券的に有益かという良い例が今週もあったので見てみよう。

 函館記念である。

 私はマイネルスターリーを本命にしていた。その理由は凡走続きでストレスがない点や、洋芝向きの点、速めの流れが合う点などがあった。ただそれ以上に馬体重的なポイントの方が大きかったのだ。

 この馬が前回連対したのが小倉大賞典。このときも休み明けだったが私は本命に予想し、早めに大捲りの荒い競馬をしながら勝ち馬とのマッチレースに持ち込んで後続に0.3秒もの差を付け、初重賞連対を果たしたのだった(降着に終わったが)。

 その内容の強さから、次走の中京記念は4番人気から一転、1番人気に支持される。しかし、ここで私は、逆に前回の本命から一気に6番手に評価を下げた。小倉大賞典は休み明けのリフレッシュを頼りに大捲りで激走したのだ。その激走が心身に与える負担は大きく、次走はストレスで凡走する可能性が高い。ただ、今回の2000mの方が適距離で、能力自体も高い馬だ。したがって、6番手には一応評価した。しかし、当日には1円も買う必要がなくなったのである。

 その理由こそが馬体重だ。予想では「絞れてくれば」と書いた。しかし絞れなかったのだ。この時点で連対確率はかなり下がったので、人気薄ならいざ知らず、1番人気では一切馬券を買う必要はなくなった。

 ちなみに、前走の小倉大賞典は14キロ増。前回書いたように、休み明けは増えて気分良く走るのが基本。この馬体増は良かった。

 だが、今回は絞れた方が良いのだ。それは前回は休み明けだから休養で蓄えた生命力を放出するために馬体増が良かったのだが、今度はそういう単調な生命エネルギーの放出では勝てない。使われた今度はレースに集中していく必要がある。だからその心の準備として絞れた方が良いのだ。特に差し馬なのでその必要性は増す(しかも前走は精神的にはよい馬体重だったのだが、物理的には太かったので余計に今回は絞れた方が良い)。

 しかし絞れなかった。前走のダメージから気持ちが走る方に向いていない可能性がこの馬体重で一気に高まったのだ。休み明けで気分良く激走し、その反動で走る気が失せ、自分で体を作るのを放棄したのである。その心身の様子が馬体重からはっきりと見て取れる。

 しかしその後、それ以上に深刻な事態が同馬に発生することになった。

 それは中京記念の後の、福島民放杯と新潟大賞典の馬体重の推移だ。この2レースの馬体重により、現状置かれたマイネルスターリーの心身状態が手に取るように分かり、そして今回の函館記念で激走することも、同じように見えきたのだ。そういうことが分かるのが馬体重の凄さなのだ。

 来週は、福島民放杯から函館記念に至る馬体重から見えてくる、マイネルスターリーの心身状態の推移とは何だったのかを具体的に考えていこう。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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