直線1000mのレースは昨年夏から行われているが、意外にまだそのレースのパターンははっきりしていない。というのも、ここまでオープンのレースは昨年のアイビスサマーダッシュと、今年4月の駿風S。たった2レースしか行われていないからだ。500万や、1000万、まして未勝利戦の1000mはモデルケースにはなりえない。
53.9秒のレコードのサマーダッシュ(勝ち馬メジロダーリング)は、前半22.2−上がり3ハロン31.7秒だった。
54.2秒を持つエイシンコジーンは、前半22.1−上がり32.1秒だった。この2つの高額条件の内容は非常に似ていて、オープン級は最初の400mを22秒ちょっとで通過し、最後の600mを32秒前後でまとめるとき、54秒前後の快時計が生まれる。
ところが、今回の注目の1頭テンザンデザートはこの春、55.1秒をマークしているが、その中身は22.1−33.0秒。
ヨイチキナコは昨秋、55.0秒で快勝しているがその中身は22.3−32.7秒。
オープン級ではない馬が前半を22秒前後で行ってしまうと(行く気ならだいたいの馬が踏めるラップ)、最後の600mを32秒そこそでまとめることは不可能。ひょっとすると、少し控えめに前半を22秒5ぐらいでセーブして通過したとき、上がりを32秒そこそこで加速してまとめ、54秒台で乗り切れる可能性もあるのである。タックンでさえ昨秋、前半400mを22.5秒で進んだとき、上がり32.3秒で伸び、結果として54.8秒を記録できた。
1000mの高額条件のレースは、まだまだ未知で解明されていない部分がある。はっきりしてきたのは、レベルの高くない馬はグングン飛ばしてこそ、可能性が引き出せることだけだろう。注目は、直線1000mは初めてだが、22秒前後で行くはずのテンザンデザートを必死に追走するときのインターサクセスのスピード能力の可能性だ。強気に行ってほしい。