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馬体重(10)

  • 2010年08月25日(水) 18時00分
 陣営は、前走太目だったので「意識的に絞っている」と発言していたのだ。

 これが何ともいけない。

 以前書いたサンライズマックスと同じだ。あのときも休み明けで意識的に絞って、馬がリフレッシュ出来ずに惨敗したのだった。

 ただ、あのときほど今回は単純ではない。というのも、今回は中7週と、それほど間隔が開いていないからだ。したがって、特にリフレッシュのために馬体が増えることに意味はない。実際に馬体重は近走増え続けている。加えて今回は真夏のレースだ。生理的な現象として自然に馬体が絞れるのが普通だし、増えてきたら確かにかなり危ない。馬が走ること以外に熱中しすぎているか、あるいは完全に走るという行為に興味を失ったことの証明になる。その場合、私は買わない。

 となると、4キロぐらい絞れているのがベターだろう。ところが20キロ減。生理現象ではなく、意識的に絞って20キロはまずい。これでは馬が競馬というハードワークにうんざりして走るのを放棄してしまう。しかも同馬は非C系の先行馬。そもそもが気の良さと生命力の噴出でどんどん前に出て走るタイプだ。だからこそ、巨漢でも結果を出してきたのである。真面目に絞ってレースに集中して走るC系の差し馬ではないのだ。ホームランバッターが太っていて、走るのが仮に遅かったとしても、それを野次るのは馬鹿げている。というか、命取りになることだろう(今年の横浜ファンは身をもって知っていることだ)。問題はそこにはなく、野球を冷静に分析すれば勝てると思っている人達だ。競馬でも何でも、生き物が関係する競技では、データをただ分析しても意味がない。どうやったら、気持ち良く前を向いて生きようとするのか。その瞬間をデータから読み解かなければ、何の意味もなくなる。人(あるいは馬)それぞれに生きることの価値や意味は違うのだ。もともとブラボーデイジーは気の良い、嬉しいタイプの馬で、それが強制的に絞られて20キロ減。嬉しいピクニック気分は吹き飛んで、絶対に走るのを投げ出す。そんなのは走る前から分かることだろう。

 結果7着。彼女の身体能力と、前有利の流れを考えれば明らかに負けすぎだ。レースを投げ出したことの証明に他ならない結末だった。

 1番人気と4番人気が馬体重から100%勝てないことが判明した以上、他の馬の単勝を何点か買えば、ほぼ自動的に儲かる。もちろん、馬体重の良かったアプリコットフィズを厚めに買うのは当然で、それが単勝爆弾だ。

 そうすれば馬連、3連複ともに、なんとも簡単な馬券になってしまうのである。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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