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ダートから芝(5)

  • 2010年09月29日(水) 18時00分
 前回は、ショック成功率の話をした。そして、それは前走3角の位置取りとも密接に関わってくるということだった。

 1回小倉芝1200mで、前走3角1番手だった馬は単勝回収率43円(複勝回収率56円)という数字だったのである。前走前に行った馬には、残酷なほどに極めて不利な馬場だった。これを念のために、前走3角3番手以内に範囲を広げてみても、単勝回収率42円(複勝回収率44円)と同じようにかなり低い。

 では、2回小倉ではどうだったか。

 何と、前走3角1番手だった馬は単勝回収率149円(複勝回収率84円)とすごいことになっているのだ。前走3角3番手以内と範囲を広げてみても、単勝回収率84円(複勝回収率71円)と1回小倉とは倍近い開きがある。

 これは一体何なのだろう。

 この現象は、やはり馬場の平準化によるものだ。ショック成功率と前走の3角位置取りとはリンクしやすい。摩擦がなくなれば、前走で単調な先行の競馬をした馬に有利になる。ショックより軽さが求められるのと、ストレスの影響を受けにくくなるからである。もちろん短縮馬で、前走先行していた馬はその限りではないが、開催の進んだ小倉芝1200mにおいては、ほとんどが前走同じ小倉芝1200mで先行した馬の数字になる。

 つまり、体力補完系ショックと、前走同距離先行馬の成績は反比例しやすいのだ。

 では何故、今回ではなく、前走の3角位置取りなのか。

 実は今回の位置取りで比べてみると、1回小倉と2回小倉にそれほど差はない。

 1回小倉芝1200mの逃げ馬の単勝回収率は314円(複勝回収率168円)、2回小倉は258円(140円)。むしろ1回小倉の方が逃げ馬の回収率は高いぐらいである。念のために3番手以内に広げてみても、1回小倉210円(108円)、2回小倉115円(117円)だ。意味のある数字的な差はここには見られない。

 このことこそが、真に重要なのである。

 今回ではなく、前回であるということ。これがMにとって意味があるし、何より馬券的にも大きな意味を持つのだ。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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