前回は、前走の3角位置取りと短縮ショックやダートから芝などの体力補完系ショックとの相関関係について見てみた。
心身摩擦が大きくなる条件では、体力補完系ショックがよく効く。なぜなら、タフなレースを乗り切るには、前走でよりタフな経験をして、高地トレーニングを施した方が、乗り切りやすいからだ。
また、前走でスムーズに前での競馬をした馬は、次走でレース摩擦が増えると、前走より楽に走れないので嫌がる。逆に馬群に入ってタフな競馬をした馬には、次走がタフな競馬になっても、ある程度耐性が出来ている。
この摩擦に対するそれぞれの反応が、体力補完系ショックと前走の3角位置取りとの間に、反比例の傾向を作りやすくするのだ。
ここで注意しなければいけないのは、今回、逃げ馬が有利な馬場かどうかはあまり関係ない点である。実際、先週も見たように、むしろ1回小倉の方が逃げ馬の回収率は高かったぐらいなのだ。今回、残れる馬場だろうが残れない馬場だろうが、そんなこととは関係なく、前走逃げた馬には、摩擦のある馬場は嫌なものなのである。
以上から「摩擦のある馬場」というのは、別に「差し馬に有利な馬場という意味ではない」ということを、ここでは覚えておいて欲しい。
Mでいつも言うように、馬は前走との落差が重要なのであって、だから前走の位置取りが意味を持つのだ。
それと同時に、これは馬券的にも重要なことである。
というのも、今回どの馬が逃げるかどうかということは、やってみなければ実際は誰にも分からない。したがって、逃げ馬が有利な馬場かどうかが分かっても、それほど馬券には役立たないのだ。
しかし、前走逃げて好走した馬が有利か不利かが分かれば、馬券に直結する。そういう意味でも、「前走との落差」というのは、競馬を予測することにおいて、もっとも重要な要素なのである。
そして、その異常に軽く、平準化された馬場の総決算として小倉2歳Sは行われた。
小倉2歳Sは、前哨戦のオープンであるフェニックス賞を逃げた馬には厳しいレースで、本番で連対した馬は、実に'93年のキョウエイコロナまで遡る。しかも彼女は、連対したといっても、1番人気,2着と人気を裏切ったもの。さらに言えば、この年は勝った馬が8番人気の逃げ馬。つまり行った行ったの競馬で、何とか2着に粘り込んだのだった。昨年も、フェニックス賞を逃げたオレンジティアラが出走したが、前残り決着だったのに3着までが精一杯だった。
本来、体力補完系ショックが効きやすい小倉芝1200mは、それだけ前走3角1番手の馬には精神的な負担が大きいということだ。
しかし、私は敢えて今年、データ的に不利なシゲルキョクチョウから入り、実際に彼は17年ぶりに前哨戦を逃げた馬として、本番で連対を果たしたのだった。しかも、シゲルキョクチョウは、上位を差し馬が占める差し競馬の中で、ただ一頭だけ残ったのである。
私は重賞ではとくに、間隔の詰まった前哨戦のストレスがある人気馬を本命にすることはほとんどない。しかし、敢えてそういう馬鹿げたことを今年はやったのだった。
どれだけ平準化された馬場が恐ろしく、極めて単調かということである。
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