日本の競馬に君臨し、日本の馬産を世界にアピールしつつあったサンデーサイレンスの突然の死は、あまりにも衝撃的であった。
16歳といえば、あと数年は種付け可能な年齢だけに、馬産地の受けた打撃は大きい。
現役時代に最大のライバルだったイージーゴアとの名勝負は語り草になっているが、評価は常にライバルのほうが上だった。ケンタッキーダービー、プリークネスSは先行したサンデーサイレンスが勝ち、ベルモントSだけは逆の流れでイージーゴアが一矢を報いたが、BCクラシックでサンデーが勝って、ライバルに決定的な差をつけた。この活躍は、その生い立ちから、アメリカン・ドリームと称えられた。
しかし、それでも種牡馬としての評価は得られず日本に輸入されたというのだから、わからないものだ。そして、この大成功。一方のイージーゴアは、その後、さしたる成果を上げることなく、平成6年、9歳でこの世を去っている。
さて、このサンデーサイレンスの死をどうとらえるかだが、種牡馬としてのピークは一般的には、12歳から16歳ぐらいといわれているので、その死を悼みつつも、むしろ、二世種牡馬群に期待を抱く方に持っていきたいと思う。偉大なるサンデーサイレンス系の確立、これこそ、今後の馬産地の命題であろう。
二世群で一流競走馬だったもののうち、サイレンススズカが不慮の死を迎えた以外は、ことごとく種牡馬入りを遂げている。
これからは、これら二世種牡馬たちに産駒は分散され、その中から、本流を形成する馬がどれになっていくのか、しばらくは、この点に興味が集中していくことになる。
そして、この潮流が、サンデーサイレンスが見ることのかなわなかった世界に向かっていくことを願いたい。さらに、種牡馬ピーク時の産駒は、今、ターフを走っていることもつけ加えておきたい。合掌。