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M的ステップ理論 京都芝1400m(4)

  • 2010年11月03日(水) 18時00分
 先週は、前走短縮の先行馬が、京都外回り1400mを先行して押し切って穴を開けるパターンを見てきた。

 この形は、何も短縮に限ったことではない。短縮に類似したものなら何でも良いわけだ。

 例えば、この春の洛陽S。勝ったのは14番人気と超人気薄のイセノスバルだった。同馬は前走がダート1400mの陽春Sで、短縮ではなかった。しかし、力の要るダートから芝に変わったショックという、「体力補完系ショック」ではあった。つまりは「疑似短縮」である。

 ただ、それだけで同馬が激走できたわけではない。

 前走の陽春Sでは3角11番手と後方で競馬をして、今回の洛陽Sでは逃げたのだった。つまり、「逃げられなかった逃げ馬」のMでいう、最強の位置取りショックを仕掛けたのだ。この仕掛けをするか事前に読むことは極めて難しく、狙って獲れるものではない。

 仮に獲るのなら、それは「単勝爆弾」という手法になるだろう。

 つまり、緩い流れで前が残りそうだと考えたときに、逃げの位置取りショックを掛けそうな人気薄の馬、すべての単勝を買うのだ。この方法なら、別にイセノスバルの小林徹弥騎手が逃げる気かはどうでもいい。自分の買った馬の、いずれかが逃げてくれればそれでいいのだ。

 ところで、イセノスバルの前走はテンが34.8秒。対して今回は35.5秒。ダートより軽い芝で、しかも同距離なのに、テンがかなり遅くなっている。これが京都芝外回りの特殊性であり、前残りが生まれる要因でもある。

 まったく同じ14番人気という超人気薄で勝ったエリモサリュート4歳上1000万下も疑似短縮だった。だが、前走のクリスマスキャロル賞は同じ1400m。しかも彼の場合は、芝。何のショックもない。

 存在した差は、前走が阪神内回りで前半34.4秒だったのに対し、今回は前半35.7秒だった点だ。急坂のあるタフな阪神でハイペース。これが今回スローになったことで、体力補完系ショックと同じ疑似短縮の形になったわけである。

 このように、短縮が有効な馬場で、必ずしも短縮馬を買う必要はない。短縮と同じ効果を持った疑似短縮のステップならば良いのだ。

 ちなみに、このエリモサリュートも前走後方から、今回逃げに出る位置取りショックだった。ただ、この馬はイセノスバルよりさらに難易度が高い。なぜなら、もうずっと逃げていないからだ。この馬が今回突如逃げるのに賭けて、ここから買うのはリスクが高すぎる。もし前回と同様に後方で競馬をしたら、勝つどころか、5着もないのだから!

 しかし、この馬は先行力があり、前走はハイペースだった。だから、逃げに出る可能性のある1頭であったことも、また事実である。

 もし、外回りらしく差し馬に人気が偏り、外回り特有の遅い流れの前残りになると判断したのだったら(あるいはその日の馬場が極端な前残りになっていたら)、先ほど同様このような逃げる可能性がある馬の単勝を何点も買うという選択肢が出てくる。

 それがつまり単勝爆弾だ。これは、すでに「予想」と言えるものでもない。何が勝つかも、あるいは何が逃げるのかも、もうどうでもいいことなのだ。ここにあるのは、あくまでも「作戦」だけである。


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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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