今週はちょっと話題を変えて、以前書いた馬体重の復習をしておきたいと思う。というのも、重賞で馬体重に関して分かりやすい例題が出てきたからだ。



　まずは、休み明けの馬体重に関して。

　以前、休み明けは馬体が減ると危ないと書いた。休み明けの場合は、生命力を再充填するのが目的だったので、増えてきた方が良いのだ。

　例えばスワンS。このときの1番人気エーシンフォワードは-8kgだった。これは良くない。休み明けの大幅減だし、直近の連対馬体重を見ると480kg。これよりも今回は2kg減だ。

　相対的に見ても細い馬が、休み明けの馬体減り。これだけでも良くないのに、問題はこの馬の調教過程だ。調教が少なめだったのである。

　調教が軽い場合、追い切り以外に強い負荷をかけていないなら、馬体は増えなくてはおかしい。「調教が軽いのに、馬体が減っている休み明け」というのは一番危ないのである。これは、放牧でリフレッシュ出来なかったことを端的に意味している。

　以前運動をしていた人が、運動をあまりしないで休んでいて、4ヶ月前より大幅に体重が減っていたら、それはかなりの確率で健康体ではない。人間なら具体的な体の病気の可能性もあるし、精神的な病気の可能性もある。いずれにせよ、良い兆候ではない。それは誰でも分かることだ。

　競馬の場合は、リフレッシュ出来なかっただけならまだしも、筋肉が落ちてしまっているという競走馬として致命傷な事態さえ考えられる。

　それに輪をかけて問題なのは、エーシンフォワードのタイプだ。この馬は先行馬。スピードに乗って押し切るタイプ。こういう馬の馬体減りはマイナスと以前書いた。特にSないしL系[※注]の場合は、馬体は細くない方が良い。

　非C系[※注]の場合、生命エネルギーを噴出させながら走るわけだから、そのエネルギーの枯渇は致命傷になりかねないのだ。

　それなのに1番人気。-8kgでこの馬が勝つ確率は、増減がなかった場合と比べて半分以下に低下している。それなのに、オッズにあたえる影響は軽微なのだ。だからこそ、馬体重は余計に意味を持つ。

1番人気がこの馬体重なら、私が本命にした3番人気・マルカフェニックスの単勝をしこたま買い込みたいところだが、ほとんど買わなかった。というのも、この馬の14kg増も問題だったからだ。

　叩き2戦目の中3週で、大幅増はいただけない。ただ、これは生命力の枯渇を意味しているわけではないので、勝つための解決策も用意されていた。

　実際にそれを実現させたために勝てたのだが、その理由はブエナビスタが天皇賞(秋)を休み明け4gk減で完勝したことと一緒に次週見ていこう。


[※注]
S系(闘争心)
　M3タイプの一つで、闘争心を持つ馬を表す。他馬との関係性を絶ち、自分勝手に一本調子に走りきろうという性質。Sの由来は闘争を表す“Struggle(英)”の頭文字から。

L系(淡泊さ)
　M3タイプの一つで、淡泊さを持つ馬を表す。自分のリズムで淡々と走ろうとするタイプの馬で、延長や少頭数、広いコース、外枠、弱い相手との競馬が有効的。Lの由来は軽さを表す“Light(英)”の頭文字から。

C系(集中力)
　M3タイプのひとつで集中力を持つ馬を表す。集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質。レース間隔を詰めたり、馬体重を絞ったり、内枠、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。Cの由来は集中力を表す“Concentration(英)”の頭文字から。非C系とはこのような特徴を持たない馬を指す。

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