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馬体重(12) 過去の復習

  • 2010年11月17日(水) 17時00分
 今週は、前日予想でエリザベス女王杯の3連単万馬券を1点目で、武蔵野Sの馬単万馬券を3点目で当てた。いつも書くように、重賞は3点以内で万馬券が当てやすい。

武蔵野Sを勝ったグロリアスノアも、ブエナビスタ同様に休み明けのマイナス体重だった。2頭の勝利の理由は、極めて似た構造を持っていたので、同時に解説しておこうと思う。

 
その前に、先週の続きのマルカフェニックスが、太目のプラス体重でも来た要因を見てみよう。



 マルカフェニックスのスワンSは延長になる。そのため、延長で前に行く位置取りショックをかければ、ダブルショックになって、より連対する確率は高まる。

 この「前に行く位置取りショック」で要求される性質は、「S質」だ。以前書いたように、S質というものは、生命力を噴出させながら走る。そのため、生命ストックそのものが豊富な方が有利なのだ。したがって、馬体はあまり減らない方が良い。

 レースではマルカフェニックスが抜群のスタートを切った。この良いスタートは、生命エネルギーが充実しているケースで起きやすい。スタート後に、福永騎手はマルカフェニックスを抑えることなくそのまま前で競馬をさせ、早め先頭で押し切ったのだった。

 もし仮にスタートが決まらなかったら、あるいはスタート後に抑えて後方に控えていたら、マルカフェニックスは4着ぐらいだったろう(やる気が失せて惨敗だった可能性もある)。

前走太かった馬体がさらに増えている場合、集中力は失せ、さらに物理的な「切れ味」も落ちる。したがって、後方から馬群を割るような集中力は期待出来ないし、物理的にも速い上がりを出すことが出来ない。結果、凡走するわけだ。

このプラス馬体重の時点で、マルカフェニックスの取るべき道は「スタートを決め、前に行って押し切る」というS質な乗り方だけである。それを、ジョッキーが完成させたから勝てたのだ。


 武蔵野Sのグロリアスノアの場合は、休み明けなので基本的には馬体が増えている方が良い。だがマイナス6kg。それでも勝った。

 まず、同馬の物理的な適性体重を考えてみる。直近で連対したレースの根岸Sが516kg。今回と同じだ。したがって、物理的に細いということではない。しかも、休養前のプロキオンSはプラス10kgの522kgで凡走したのだから、単に太かった体が絞れたとも考えられる。

 しかし、それだけでは休み明けのマイナス6kgをあえて買う根拠にはならない。
 ポイントは彼のタイプになる。

 初の古馬重賞勝ちとなった根岸S。このときは、16頭立ての8番枠。真ん中枠から、馬群を割って差し勝ったのだった。この内容から、ダート馬としては比較的C要素(集中力)があると考えられる。新馬戦が16頭立ての2番枠からの差し切り勝ち、格上げ戦にもかかわらず初重賞連対となったユニコーンSが16頭立ての5枠9番だったことなどからも、それほど強い相手に怯むことはなく、また馬群を厭うこともあまりないことが分かる。

 つまりC要素がある。以前解説したように、C系の差し馬は馬体が減っても良いケースが多いのだった。

 加えて馬体重のイレギュラーに対する許容力の重要な要素が、この馬には存在した。それは「心身の躍動」である。



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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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