ダートの重賞体系は、つい数年前と比べるとまるで別の国の体型のようになった。全日本規模の統一グレード制があっというまに浸透し、頂点のG1には、JBCクラシックとスプリントが加わり、ジャパンCダートも生まれた。フェブラリーS、帝王賞、南部杯マイルCS、東京大賞典など、芝のG1にまったく見劣るところはない。
もし、これがタケシバオーやハイセイコーのころに体系が整っていたとしたら、ロジータのころでもいい、日本のダートのチャンピオンホースは、決して一部の公営競馬のヒーローに甘んじることはなかったろう。
もういまはそんなことはだれも言わなくなったが、ダートも芝も、そのレースの価値は互角。アメリカがダート中心で、ヨーロッパが芝中心なら、これから世界のトップに加わる日本とドゥバイは、芝とダートを同じように重視する競走体系を築いていく。
注目のプリエミネンスは、このあと11月4日に盛岡で行われるJBCクラシック(G1)2000mを目標にしている。これまでダートG1では、4、11、5、5、8着にとどまっているが、もっともランクの高いジャパンCダートで、2000年はウイングアローの4着。2001年はクロフネの5着なのだから、充実著しい5歳の今季なら、JBCクラシック制覇も夢ではない。
これまで良績のなかった右回りも、前々走の函館で楽々とクリア。1分43秒9は当時のレコードと0.2秒差だった。今度は1キロ減の55キロ。まず勝ち負け必至だろう。
もう1頭、いよいよ本格化しそうな4歳タガノフォーティのレースぶりにも注目したい。ストライドが一段とパワフルになっている。ムラで[5-0-0-5]がダート成績。これまでは勝つか凡走かがパターンだったが、この秋はA級馬に育って欲しいところだ。