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体力補完系ショックと短縮ショック (5)

  • 2010年12月22日(水) 17時30分
 ダートからの延長馬がこれほど席巻したのはなぜかという話を先週はした。2つめの理由は「ショック馬場」ということの意味である。

 ショック馬場にもいろいろな種類があるが、その底流には「変化を求める」という共通の性質がある。

 平準化された馬場の場合は変化は必要ないのだが、一般的に馬は飽きる。だからショック療法が有効なのだ。しかし、ショックを過剰に必要とする馬場の場合、特に飽きるまでのスピードが早まるので、同一条件で好走した馬は不利になる。その場合、短縮、延長などを問わず、前走から変化のある馬が有利になるのだ。

 そのため秋の福島開催は、前走が1200mだった馬の単勝回収率は29円で、延長、短縮の回収率は100円を超えるという極端な現象が起きたのだ。

 逆に言えばこういう馬場の場合、前走が同一距離であっても、位置取りショックや休み明け、格上げなどの「飽きない要素」があれば、構わないことになる。

 では、馬場変化を当日に敏感に感じ取る方法を、福島の1200mで見てみよう。この間振り返ったレースが中心だが、馬場変化の着目法ということに焦点を絞って、時系列で馬場の変化を見ていきたい。

 福島第3開催の3周目にあたる11月14日。最後の芝1200mのレース、須賀川特別は1〜8着まですべて3角6番手以降の馬が独占した。そして1〜3着まですべて短縮馬。3連複の865倍が縦目だから5点目で当たったレースだ。このことから、次週は差し馬場、しかも短縮ショックを要求する差し馬場と判断するのが普通だろう。

 そして迎えた翌週の土曜日最初の芝1200mのレースである2歳未勝利。1、2番手の馬が2、3着で、追い込み馬は全滅の競馬になった。

 だが、勝ったアルトゥバンは3角6番手。そして、差し馬だ。

 この場合、馬場をどう判断するかだが、最初にペースと人気を見る。

 ペースは33.7−35.7。ハイペースだ。ハイペースでも1、2番手の馬が残ったところを見ると、先週の継続ではなく、馬場が変わったと考えるのが無難だ。

 そして人気を見る。差して勝ったアルトゥバンは1番人気。つまり実力が上なので、その馬が15頭立ての3角5番手で勝ったのでは、差しが効くとは言えない。むしろ5番人気だったナムラオーシャンが2番手から2着に粘ったことに注目すべきだ。

 人気とペースのチェックからは、完全に前残り馬場と判断できる。

 ただステップに注目して欲しい。アルトゥバンもナムラオーシャンも短縮馬だったのだ。つまり、前残りだが、ショック要求率の高い馬場と判断できる。

 次は福島10R五色沼特別。私は短縮のセイコーライコウを本命にしていた。しかし、差し馬。4Rの結果から、好ましくはない。

 それでもショックの質がよく、またショック馬場というのは4Rで確認した。

 となると、複勝中心が正解だろう。ショックの質はよくショック馬場も有利だが、前残り馬場なら差して届かずに2、3着のケースが十分考えられるからだ(もちろん、当日1、2番人気の人気馬でこの馬場なら買わない)。

 それと、馬場のチェックポイントで注意しなければならないのが、新馬、未勝利の取り扱いだ。0勝クラスの芝1200mだと、前が残りやすい。4Rは未勝利戦なので、このレースの結果だけで、前残り馬場と決めつけるのは早計だ。


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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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