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滞在競馬の見極め方(3)

  • 2011年03月02日(水) 16時30分
 もちろん、連続で強く追った方が良い場合もある。この気が張っている状態の持続と、心身への疲労やストレスを見極める作業は極めてデリケートだ。そして、その作業の正否が、予想の結果を左右する場面は実に多い。

 例えば今週行われた中山記念。このレースには、2番人気でリルダヴァルという馬が出ていた。

 この馬の調教は前週に78.9−35.9−11.3秒の一杯追い。当週も79.1−36.4−11.6秒の一杯追い。かなり意欲的な追い切りだ。ここからは体調不安を微塵も感じさせない。これだけ追えることから、水曜の追い切りが強すぎて反動が出ていることもない様子がうかがえる。そもそも前走時の最終追い切りも75.8−36.0−11.6秒の猛時計で結果を出している馬だけに、時計の出やすい栗東Pということもあり、それほど自身にとって強い追い切りではない。

 だが、私はこの追い切りを見たときに、「今回は危険性が高い」と判断した。

 そこで前日予想では5番手評価に落とすことにした。

 そして迎えた当日。14キロ減という馬体重発表があった。これで、この2番人気は5番手どころか、8番手評価ぐらいが妥当となった。

 心身に疲労が出たのが明らかだからだ。

 ではなぜ、ここで危ないという判断だったのか?

 最後に連対したアンドロメダSでもCWで80.1−38.0−12.8秒の速い時計で追い切っている。

 このときと決定的に違う点が2つある。

 1つめはアンドロメダSのときは前走富士Sで4着に崩れている点だ。つまり前走のストレスが少ない。

 今回の前走、小倉大賞典の3着だって大して違わないじゃないか? と思われる読者も多いだろう。

 だが、内容が違う。富士Sは揉まれ弱いアグネスタキオン産駒のリルダヴァルが得意な広い東京コース。そこでの1番人気4着は、はっきりとした凡走である。

 対して小倉大賞典はリルダヴァルの苦手な小回りの多頭数。実際、不利もあって3着に敗れた。普通は評価できる出来事だが、Mでは解釈が違う。不利がありながら苦手な条件で3着だから、明らかに好走なのだ(小回りの多頭数内枠に揉まれ弱いアグネスタキオン産駒だから、この不利はそれなりに発生確率の高い不利ではあったが、それはここでの問題ではない)。好走したということは、それだけ心身へ疲労が溜まる。

 つまり、心身へのストレスの度合いが、アンドロメダS時より強いのだ(前走内容が良い方が評価が下がる場合がある。これがMの面白さの1つでもある)。
 それに加えて、アンドロメダSは叩き3戦目。中山記念は休みなく使われて7戦目。説明するまでもなく、蓄積疲労の度合いもきつい。

 そしてそれに追い打ちをかけるのが、アグネスタキオン産駒の「疲労耐久指数」の問題である。


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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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