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2つのハンデ重賞

  • 2011年03月07日(月) 00時00分
 今週は中京記念と中山牝馬S、ふたつのハンデ重賞が行われる。ただこのふたつのレースは、斤量という切り口で考えてもだいぶ性格の違うレースだ。

 過去10年の中京記念に出走した牡馬セン馬を振り返ってみると、52kg以下だった超軽ハンデ馬は馬券に絡んでいないものの、53kg以上の馬は斤量帯ごとの成績差が少ない。より正確に言うと、軽いほうと重い方の両端がそれなりに走っていて、中途半端な斤量の馬の成績がいまひとつという感じだ。

 ただ、真ん中がいまいちというのは少ないサンプルの中でたまたまそうなった可能性もあり、過去20年という長い期間で見ると、53kgから57.5kgあたりまで極端な差が無い成績(若干重い側のほうが好成績)になっている。

 一方、中山牝馬Sはというと、重ハンデ馬のほうが強いという傾向がはっきりしている。過去10年で見ても20年で見ても同様だ。

 強い弱いを勝率・連対率ベースで言うのか回収率まで含めるのとか、斤量差といっても各斤量の出走頭数が違うので、統計でいうところの分散を持ち出すのか……など、ややこしいことはとりあえず横に置いておこう。ざっと結果を見ただけでも、ハンデによる調整が効いている・効いていないという両レースの差は明らかだ。

 考えてみると、中山牝馬Sのほうが前走条件戦組の出走も多いし、出走馬相互の能力差が大きい可能性はある。その一方で斤量差が似たようなレベルであれば、中山牝馬Sのほうに「重ハンデ馬強し」の傾向が出るのは当然だ。

 ハンデというのは不思議なもので、競走結果に対して確実に影響を及ぼすはずなのに、その程度がきちんと吟味されていないものでもある。また日本の場合、酷量を課さないとか、上がりやすく下がりにくいとか、独自の事情もある。たまには各馬のハンデをじっくり吟味してみるのも勉強になるかもしれない。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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