さて、フィリーズレビューで1番人気となったドナウブルーだが、デビューから3戦連続して1600mを使った。

　その中でも、ここ2戦が問題だ。
　2走前が前半3ハロン37.1秒の超スロー。そして前走が前半35.1秒の平均ペース。2走とも速いラップでは無かった。

　ところが今回は多頭数の内回りで200ｍの距離短縮。前走よりペースアップすることは間違いないと思われる。
　差し馬でも、前走より過剰にペースアップした場合には、後れを取って不利になるケースの多いのがディープインパクト産駒の特徴だった。

　したがって危うい。そこで私はこの1番人気を5番手評価に落として予想した。

　そしてレースは、その懸念されたハイペースになった。しかも前後半が2秒以上もある超ハイラップとなったのである。そのためレースの流れに乗りきれず、「最速上がりを繰り出すも間に合わず」に4着という、ディープインパクト産駒らしい結末を迎えたのだった。

　逆にドナウブルーが強烈な強さを見せたのは白菊賞の内容だった。上がり33.4秒という超速上がりを繰り出して、スローを追い込んで圧勝したのである。この内容の強烈さから、ここ2走とも1番人気に支持されていたのである。

　この白菊賞のときは、前走の新馬戦が前半34.3秒というハイペース。この流れを経験してのスローで、気分良く追走出来て、脚を残せたぶん、差せてのものだったのだ。

　差し馬だからといってハイペースがプラスになるとは限らない。この馬のように、馬のM3タイプによって、そして前走の流れによって、フィットする流れというのは自ずと違ってくるのである。それがMというものであり、競馬というものである。

　またディープインパクト産駒を買う際に注意したいのが、精神状態の不安定さだ。そのために入れ込んだり、余計なことに体力を消耗するケースが多い。

　その精神状態が端的に表れるのが馬体重の動きである。ドナウブルーが負けた理由は、実は流れだけでは無かったのだ。

　間隔を開けたのに、また2kg馬体重が減っていたのが追い討ちをかけたのである。つまり精神的に煮詰まって馬体が減ってくるという状態である。シンザン記念で1番人気を裏切ったのも、4kg減の影響が大きかった。新馬から6kg、4kg、2kgと徐々に馬体が減っているように、精神的に煮詰まっていくケースが多いのが特徴になる。