スマートフォン版へ

アグネスタキオン産駒(2)

  • 2011年04月13日(水) 15時50分
 大阪杯で逃げ馬が後続を引き離す必要があるのは、気分良く逃げるためである。ストレスがある状態では、例えスローでも後続に接近されると精神的にまいりやすい。ストレスがあればあるほど、馬は他馬との接触を嫌がる。
 だからストレスのある差し馬の場合は内枠でない方がベターになる。

 逃げ馬なら馬群に揉まれる心配はないわけだが、後続が近くにいるだけで精神的プレッシャーになるし、直線で並びかけられると抵抗できない。だからストレスがある状態の馬は、スローで引きつけるのではなく、平均ラップでもいいから引き離した方が最後まで気分良く逃げられるのだ。

 ところが、平均ラップはいいのだが、ハイラップで逃げるのはこの場合よくない。

 心身疲労がある馬、特に肉体的な蓄積疲労がある馬には、ハイラップで逃げると生命力を消費して、単純に肉体的に耐えきれなくなりやすい。ストレスだけが強いケースなら、ハイラップでも離して逃げた方がいい場合も多いが、肉体疲労が強い状態でのハイラップは危険性が高いのだ。

 このように、同じ逃げるにしても、そのときのストレスや肉体疲労によって、適切とされるラップは異なるのである(もちろんそれ以外にも、以前書いた馬のタイプ、馬場などの要素が絡んでくるが)。

 結局、平均より遅めの緩いラップで逃げたものの、後続を引き離す逃げではなかったため、馬群に早々に飲み込まれてしまったのである。

 このレースにはリディルというアグネスタキオン産駒も出ていた。2走前に1年以上の長期休養明けの白富士Sでいきなり2着と、その潜在能力の高さを見せつけ、次走の洛陽Sでは圧倒的1番人気に支持された馬だ。だが白富士Sの長欠明け2着は、それほど評価できる内容ではない。量系のアグネスタキオン産駒にとっては、フレッシュな状態の方がベターだからである。

 結果、洛陽Sでは単勝1倍台の断然人気を裏切って2着。この2着が実に余計だった。

 もし、ストレスで洛陽Sを凡走していたら、次走で復活することも可能だが、また連対してしまったことで蓄積疲労を強めてしまったのだ。
 結果、大阪杯は8着に敗れたのである。

 同じ週に行われたのが中山牝馬S。このレースにも2頭のアグネスタキオン産駒が出ていた。

 1頭目はヒカルアマランサスだ。京都牝馬Sでの2着が評価されて2番人気に支持されていた。

だが、私はこの馬を7番手評価に落とした。それは3着、2着と連続で重賞を好走していたからだ。蓄積疲労が溜まり切っている頃である。

 またアグネスタキオン産駒は、蓄積疲労が溜まった場合は延長より短縮の方がベターという傾向がある(揉まれにくいという意味で、通常時には延長を好むケースも多いのだが)。

前走の京都牝馬Sは短縮だったが、今回は延長というのも嫌な要素になるわけだ。先ほどのリディルと同じで、前走の好走は短縮で、大阪杯は延長だった。
 結果、2番人気で9着に惨敗。

 ちなみに、当日はこの馬を一切買う必要がない。22kg馬体が減っていたからだ。量系の馬は体力を使って走るので、大幅減は致命傷になるケースが多いのは以前書いた通りである。特に今回は間隔を開けてのマイナス体重だから、余計にMの馬体重理論では買えない。

この馬体減りは、「蓄積疲労が出た」ことの端的な証左に他ならないからだ。

 もう1頭のアグネスタキオン産駒は5番人気のブロードストリート。これは完全に買い目から切り捨ててよい。


恐怖の大穴血統辞典
待望の新刊ポケット版「恐怖の大穴血統辞典」が10/8(金)に発売!

 より緻密(データ数値精度アップ)に、より大胆(新指数・新種牡馬先行解説追加)に深化!競馬の根源を揺るがす大穴の構造が暴かれた「実践型血統辞典」!!

 今作では、80頭分の父・母父のデータを、タイプ(M3タイプ)、走りやすい条件(オプション)、好不調のパターン(リズム)、激走・凡走能力(指数)、距離変更対応力(短縮延長データ)、各条件別データ、ワンポイント解説で詳細に解析。データの数値は前作より精度をアップさせ、さらに馬券直結度を重視。

 また、待望の新指数「高速上がり指数」と、ディープインパクトやハーツクライなどの新種牡馬の先行解説も追加。多くの種牡馬に対応した辞典が完成しました。もちろん、『netkeiba.com』にて大好評連載中のコラム「馬券の天才・かく語りき」も2009年夏〜2010年夏を収録。データ+読み物で最新の種牡馬事情が丸裸になります。最新版であり最強版の大穴を獲るための種牡馬辞典、いつでも携帯して馬券に活かしてください!!

>>Amazonでのご購入はこちらから

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング