大阪杯で逃げ馬が後続を引き離す必要があるのは、気分良く逃げるためである。ストレスがある状態では、例えスローでも後続に接近されると精神的にまいりやすい。ストレスがあればあるほど、馬は他馬との接触を嫌がる。
だからストレスのある差し馬の場合は内枠でない方がベターになる。
逃げ馬なら馬群に揉まれる心配はないわけだが、後続が近くにいるだけで精神的プレッシャーになるし、直線で並びかけられると抵抗できない。だからストレスがある状態の馬は、スローで引きつけるのではなく、平均ラップでもいいから引き離した方が最後まで気分良く逃げられるのだ。
ところが、平均ラップはいいのだが、ハイラップで逃げるのはこの場合よくない。
心身疲労がある馬、特に肉体的な蓄積疲労がある馬には、ハイラップで逃げると生命力を消費して、単純に肉体的に耐えきれなくなりやすい。ストレスだけが強いケースなら、ハイラップでも離して逃げた方がいい場合も多いが、肉体疲労が強い状態でのハイラップは危険性が高いのだ。
このように、同じ逃げるにしても、そのときのストレスや肉体疲労によって、適切とされるラップは異なるのである(もちろんそれ以外にも、以前書いた馬のタイプ、馬場などの要素が絡んでくるが)。
結局、平均より遅めの緩いラップで逃げたものの、後続を引き離す逃げではなかったため、馬群に早々に飲み込まれてしまったのである。
このレースには
リディルというアグネスタキオン産駒も出ていた。2走前に1年以上の長期休養明けの白富士Sでいきなり2着と、その潜在能力の高さを見せつけ、次走の洛陽Sでは圧倒的1番人気に支持された馬だ。だが白富士Sの長欠明け2着は、それほど評価できる内容ではない。量系のアグネスタキオン産駒にとっては、フレッシュな状態の方がベターだからである。
結果、洛陽Sでは単勝1倍台の断然人気を裏切って2着。この2着が実に余計だった。
もし、ストレスで洛陽Sを凡走していたら、次走で復活することも可能だが、また連対してしまったことで蓄積疲労を強めてしまったのだ。
結果、大阪杯は8着に敗れたのである。
同じ週に行われたのが
中山牝馬S。このレースにも2頭のアグネスタキオン産駒が出ていた。
1頭目は
ヒカルアマランサスだ。京都牝馬Sでの2着が評価されて2番人気に支持されていた。
だが、私はこの馬を7番手評価に落とした。それは3着、2着と連続で重賞を好走していたからだ。蓄積疲労が溜まり切っている頃である。
またアグネスタキオン産駒は、蓄積疲労が溜まった場合は延長より短縮の方がベターという傾向がある(揉まれにくいという意味で、通常時には延長を好むケースも多いのだが)。
前走の京都牝馬Sは短縮だったが、今回は延長というのも嫌な要素になるわけだ。先ほどのリディルと同じで、前走の好走は短縮で、大阪杯は延長だった。
結果、2番人気で9着に惨敗。
ちなみに、当日はこの馬を一切買う必要がない。22kg馬体が減っていたからだ。量系の馬は体力を使って走るので、大幅減は致命傷になるケースが多いのは以前書いた通りである。特に今回は間隔を開けてのマイナス体重だから、余計にMの馬体重理論では買えない。
この馬体減りは、「蓄積疲労が出た」ことの端的な証左に他ならないからだ。
もう1頭のアグネスタキオン産駒は5番人気の
ブロードストリート。これは完全に買い目から切り捨ててよい。
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