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逃げ馬の心身状態(1)

  • 2011年04月20日(水) 18時00分
 今週は先週のつづきでブロードストリートの話を書く予定だったが、さっそく今週、先週話した内容のちょうどいい復習問題が2レースあったので、記憶の新しいうちにそちらから見てみよう。

 まず先週解説した、逃げ馬の逃げ方について。

 マイラーズCでは、シルポートという逃げ馬が出ていた。私はこの馬を本命にしたのが、解説に「離して逃げれば」ということと、「ハイペースだと疲労が出てよくないが」という2つの注文を記した。

 離して逃げる必要があるのは、先週話したように道中で他馬からのプレッシャーを受けずに、精神的にリラックスして走るためだ(また、シルポート自体が上がり勝負に向かないので、スローの団子状態の逃げでは、今の速い上がりの出る高速阪神芝だとキレる馬に差されるという物理的な理由もあった)。

 ハイペースで逃げるとよくない理由は、先週書いたとおり蓄積疲労の問題だ。ここ2走連続6着凡走で心身疲労が薄れていることは間違いないが、使い詰めで前走は今回より長い距離をハイラップで逃げていた。この場合、凡走しても疲労はある程度蓄積されてしまう。

 現在のシルポートの心身状態なら、平均ペースで離して逃げるのがベストであり、そうすれば勝てるし、そうしなければ2着もないということである。

 レースは、スタートダッシュが付かずになかなかハナを切れないという危ないパターン。しかし、めげずに叩いて叩いてハナを切り、そのままペースを緩めずに離して逃げつづけた。

最初の1ハロンは12.4秒と遅いが、これはシルポートのスタートダッシュが付かなかったからであり、そこで叩いて強引に前に行ったことから分かるように、シルポート自体は、一貫した平均ペースでレースを走っていたのだ。

 私の注文通りに騎手が乗ってくれたため、予定通りの逃げ切りで、単勝18.4倍をプレゼントしてくれたわけである(もちろん、1600m→1800m→1600mの、完璧なる「バウンド短縮ショッカー」だったこともあるが)。

 このように、その馬のタイプ、心身状態、馬場によって、逃げ切れるラップというのは自ずと決まってくる。

 もう1つの復習レースは、小倉の別府特別(芝1200m)だ。このレースで私は6番人気のジャカランダテラスを本命に指名した。

その条件として「10kgぐらい増えれば」という項目を入れた。Mの基本の「逃げ、先行馬は馬体増がいい」ということと、「休み明けは馬体増がいい」という2つの理由からである。

 当日は18kgの大幅増。それでも前走で大幅に馬体が減っていた馬の休み明けなので、増えすぎにはならない。むしろ、わずかか2kgでも当日減っていたら、この場合は危なくなるし、私なら買い控える。

 そしてラップだ。私はこの馬のラップについては何も言及しなかった。休み明けでフレッシュなうえ蓄積疲労がないので、ハイペースでも全然かまわないからだ。どんなペースだろうが、今回はリフレッシュして大幅増したという、その生命力を前面に出して、強引に前に行くこと自体が重要なのである。

結果、前半33.4秒というかなりのハイラップを踏んで逃げたが、休み明けで気分良く逃げたために、逃げ切って単勝9.7倍をプレゼントしてくれたのだった。

 ところで、私がこのレースを選んだ理由は他にもあった。先日から話題にしているアグネスタキオン関係の問題である。

 このレースには1番人気でトロンプルイユというアグネスタキオン産駒が出ていた。
 これが今までの話を総合すれば何とも危ない。

 前走は休み明けで気分良く逃げて2着。フレッシュな方がいいアグネスタキオン産駒にとっては、2走目が1走前より条件が好転するということは、あまり期待できない。

 加えて今回が連闘。これがまたアグネスタキオン産駒にとってはよくない話だ。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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