マンハッタンカフェの不運、これを、世界の超えられない壁とは結びつけたくはありません。様々な国際G1で存在をアピールしている日本馬のレベルが、昔と違うことは、誰もが認めているところです。
マンハッタンカフェが凱旋門賞でどこまでやってくれるか。エルコンドルパサーの惜敗を思い起こさせ、その延長線上に今回の挑戦があると考えれば、当然、今度は前回を上回るものをと期待しても不思議ではありませんでした。
大敗の原因がはっきりするにつけ、無念の思いは大きくなるばかりです。あれほど好調を伝えられたのに、あれは一体なんだったのか。競馬の不運は、そういうところにこそ潜んでいると、またまた見せつけられてしまいました。そして、デットーリの勝利。そこには、ヨーロッパの伝統の力を見る思いがします。単に馬が強いということではないもの、そこに伝統の力が備わってこそ、凱旋門賞の勝利が見えてくる、そういうことではないかということです。
例えば、日本のジャパンC。日本の競馬に根づいた今、ここで外国馬が勝利することはそんなに簡単ではなくなりました。国内でジャパンCを狙うという伝統の力が、芽吹いたからこそ、その牙城はなかなかくずれない、競馬とはそういうものという姿が見えてはきませんか。
欧州の凱旋門賞は、欧州を根城とする馬が、アメリカのブリーダーズCは、北米を中心に走っている馬、そして、ジャパンCは日本馬がという具合で、そのレースに伝統が加われば加わるほど、そういうものではないかと思わされます。
そして、それぞれには壁があり、それをのり越えることがどんなに大変なものであるか。だからこそ、チャレンジする為のエネルギーが途方もなくもとめられているのであり、地域差は、今はそんなにないと断言したい。