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マンハッタンカフェ産駒(1)

  • 2011年05月04日(水) 18時00分
 ここ何週間か例としてあげてきたリディルが谷川岳Sに出てきて1番人気で勝った。トロンプルイユで見てきた形と同様で、8着という惨敗で完全に疲労を消した後らしい走りだった。

これに類似したリズム曲線として、マンハッタンカフェ産駒があげられる。マンハッタンカフェ産駒は、距離別の鮮度要求率が高い。
 ただ、その形が先週見たアグネスタキオン産駒のように、鮮度(距離鮮度ないし生涯鮮度)とのバランスの中で2回連続好走のリズムを刻む場合もアグネスタキオン産駒ほどではないことが案外多いのだ。これが曲者のトラップとなりやすい。

 象徴的だったのは高松宮記念に出てきた2頭のマンハッタンカフェ産駒だった。
 ジョーカプチーノは1200mのラピスラズリSを逃げて1着後、同じ1200mのシルクロードSをトップハンデで出遅れた為に一転、追い込んでの1着。

 その後に迎えたのが高松宮記念だった。

さすがに、シルクロードSの内容は、当該距離にかなりの能力差があって、なおかつ状態が絶好でないとできない荒技だったため、同じ1200mの高松宮記念では当然のように1番人気に支持された。

 もう1頭のマンハッタンカフェ産駒はアーバニティ。ジョーカプチーノが制したシルクロードSを14番人気で追い込んで2着に激走。このときは1400mからの短縮で、約半年ぶりの1200mだった。当該距離における鮮度要求率の高いマンハッタンカフェ産駒らしく、久しぶりの1200mで距離鮮度を充填させ、激走したという形である。

 また、シルクロードSは特殊なレースでもあった。
 前半が34.8秒で後半が33.4秒という、多頭数のオープン1200mでは考えられないような上がりだけの競馬。そんな遅い流れなのに、なんと!1〜4着までを4角7番手以降の追い込み馬が占めたのだ。尋常ではない、1200mとしてはなんとも特殊なレース質だった。

 このような極端な外追い込み競馬や前残り競馬、超高速馬場や重馬場など、特殊なレース質に強いのがマンハッタンカフェ産駒の特徴でもある。

 したがって、このマンハッタンカフェ産駒のワンツーは、マンハッタンカフェ産駒向きのかなり特殊なバイアスが発生したために起きたものであり、ジョーカプチーノは力が抜けていたと判断できても、アーバニティは特殊馬場がハマったと考えるのが普通だ。

 もちろん高松宮記念では、誰もが同じマンハッタンカフェ産駒なら、ジョーカプチーノがアーバニティに先着すると考えた。
 そのため、ジョーカプチーノは単勝2.8倍の1番人気に支持されるも、アーバニティは単勝86.8倍のまったくの人気薄に放置されたのだった。

 そして私も、さすがに今回ばかりはそのような判断をしていた。
 ところがだ、マンハッタンカフェ産駒のグローバルリズムは、さまざまな常識をさえ、一気に飛び越えてしまったのだ。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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