人気のコティリオン(父ディープインパクト)は、1勝馬とはいえ距離1800mの「毎日杯」が勝ったにも等しい内容の小差2着。マイル戦の好タイム勝ちも、東京の経験もある。また、グランプリボス(父サクラバクシンオー)は、GI「朝日杯FS」を快勝しただけでなく、1800mの「スプリングS」でも差はなかった。ともにNHKマイルCの勝ち馬の条件を満たしているうえ、そろってデキもいい。とても軽視できないが、グランプリボスを尺度にすると、新星エーシンジャッカル(父フジキセキ)が浮上する。
転厩や馬体調整があって2歳後半から約半年休んで再鍛錬したのが大正解。休み明けの500万下を快勝すると、7番人気で挑戦した「ニュージーランドT」を猛然と追い込んで2着。スローで勝ちタイムが1分34秒5だからレースレベルには疑問もあるが、先行したグランプリボスをゴール寸前で一気に捕らえた。狭い馬群を割り、あと100mくらいから1頭だけ異なる脚さばきで突っ込んだから、NO、1だった上がり3F「33秒5」の数字以上の価値を認めたい。
遅れて台頭した新星らしくこの中間も元気いっぱい。先行させた馬を離れた位置から猛然と追走するハードな調教を2週連続でこなしている。木曜計測で「464kg」。細身に見えるだけに体が減っていないのも心強い。
以前のフジキセキ産駒は、みんなそこそこに活躍するものの「GI級」が少ないところに物足りなさがあったが、近年はカネヒキリ、キンシャサノキセキ、ドリームパスポートなどビッグレースで快走する産駒が増えはじめ、昨年のこのレースを日本レコードで制したダノンシャンティも出現した。フジキセキ産駒の評価「再上昇」。そんな流れも味方しそうである。内から突っ込んだ前回をみると、少しもまれるくらいは平気。岩田騎手の得意とするイン強襲策もありえる。
前出の2頭が当面の相手だが、厳しい流れ必至。1800〜2000mで好走してきたプレイ(父ロックオブジブラルタル)、同じ父を持つエイシンオスマンも、もろいように見えて1600mなら好位抜け出しの自在性を発揮しそうに思える。2戦2勝のアイヴィーリーグもセンスあふれる好素材だろう。ちょっと細いように映るが、もちろんリアルインパクトも押さえる。