今年の高松宮記念では、アーバニティが11番人気で3着に激走。対して断然人気に支持されたジョーカプチーノは10着に惨敗したのである。ジョーカプチーノはこれが1200m連続3戦目。アーバニティの方は2戦目だった。
連続好走のリズムと距離鮮度の2つの要素が絡み合った、何とも恐るべき結末である。
ちなみに、アーバニティはこの高松宮記念の後のオーストラリアTでは人気薄から一転2番人気に支持されるも、18頭立ての18着に惨敗した。
シルクロードSの2着はフロックと思った人も、GIの高松宮記念3着で、その疑念は薄れ、2番人気に支持されたというわけだ。
だが、1200mを連続3戦目。しかも前2戦好走後では、マンハッタンカフェ産駒のグローバルリズムが耐えられる可能性は極めて低い。その結果が、GI 3着後のOP特別で18着という思い切った惨敗である。
この結果は能力などではなく、馬が走るのを放棄したことに他ならない。ジョーカプチーノの高松宮記念10着惨敗も同じ形である。確かに不利はあったが、不利に対してまったく抵抗できずに投げ出してしまうのが、ストレスというものの怖さでもあるのだ。
この特殊馬場設定、連続好走のグローバルリズム、距離鮮度という3点セットは、マンハッタンカフェ産駒には何とも恐ろしい効果を及ぼす。それを衝撃的な形で身に染みさせられたのが、この間の天皇賞・春だった。
私はストレスと前走レコード勝ちの反動、得意でもない3200mという距離を考慮して、ヒルノダムールの評価を下げた。それが1着。
スローの稍重という特殊状況、2連続好走のグローバルリズム、前走から1200m延長の距離鮮度という3つの組み合わせの相乗効果だった(大阪杯を勝ったのも、レコードという特殊状況も大きかった)。
この距離鮮度の重要性は、同じ天皇賞・春に出ていたマンハッタンカフェ産駒のゲシュタルトが、3戦連続3000mへの出走で前2走もそこそこ好走したため、ヒルノダムールとは対照的に完走した17頭中最下位の17着に惨敗したのと、実は表裏一体なのである。
高松宮記念におけるジョーカプチーノとアーバニティの真逆の結末と同じ構造が、そこにはあったのだった。
この2連続の法則は、今週の重賞でも見られた。京都新聞杯のアグネスタキオン産駒・レッドデイヴィスである。
重賞を2連勝中。しかも、後の桜花賞馬、皐月賞馬を撃破しての連勝だ。この程度の相手に負けるわけがないと、単勝1倍台の断然人気に支持された。
だが私は蓄積ストレスの懸念から3番手評価とした。
アグネスタキオン産駒とマンハッタンカフェ産駒は似ているが、再三書いてきたようにアグネスタキオン産駒は疲労耐久力にかなりの問題を抱えている点が違う。疲労耐久力の低いアグネスタキオン産駒に疲労時の延長は、マンハッタンカフェ産駒以上に致命傷になりかねないわけだ(マンハッタンカフェ産駒が凡走するときは、疲労耐久力より精神的な問題が大きく作用するケースが多い)。
結果、レッドデイヴィスは惨敗して、予想の馬単1点目で43倍を当てることができたのだった。