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直線競馬の見極め方(1)

  • 2011年05月25日(水) 18時00分
 今週も先週同様に直線競馬を2鞍予想し、両方とも本命が連対した。これで、この新潟開催で予想した直線競馬4鞍すべてで、かなりの馬券的成果を上げることが出来た。

 買いたい馬がちょうどいたこともあるが、それ以外にも直線競馬のM的ポイントがいくつかあったのも大きかった。この直線競馬のポイントは、M的な馬券観そのものを象徴している。そこで、予想した4つのレースを順に振り返りながら、その構造を分析してみよう。

 まずは先週の話の続き、「期」マークレースとした、5月14日の新潟6Rだ。

 このレースには単勝1倍台の断然人気でメトログリペンという馬が出ていた。前走は休み明けに加えて初めての直線競馬だったが、0.1秒差2着と好走。しかも、直線競馬で不利と言われる内枠だった。今回は有利とされる大外8枠だ。断然人気に支持されるのも当然だろう。

 だが、Mを知るものにとっては、これは怪しい話になる。

 前走は休み明けで、初の直線競馬。普通はかなりの不利に思えるが、直線競馬の適性さえあれば、むしろ有利な条件だ。休み明けでフレッシュ、しかも初めての直線競馬。実に新鮮な気持ちで競馬ができる。そして実際連対したわけだから、「直線競馬適性が高かった」という、それだけのことである。

 今回は超フレッシュな状態で走った後なので、ストレスがきつい。したがって、断然人気ほどの期待値はない。ただ、「来ない」という保証もない。直線競馬の適性が高いのは事実だし、鮮度自体もまだ十分あるからだ。

 この段階で言えることは、単勝1倍台を考えると単勝期待値は高くないということである。
 それともう1つ、この断然人気には問題があった。前走は内枠で好走して、今回は有利と言われる外枠になったという点である。


 これは、必ずしも近年の直線競馬ではプラスではない。最近は何もしないと外ラチ沿いが有利すぎるので、大外は伸びない馬場設定にされているケースが多いのだ。また、内枠の場合は、外に馬が殺到するので、揉まれ弱い馬にとっては、揉まれずに済むという大きな利点もある。

 もし外枠が伸びない馬場設定なら、内枠から外枠は逆にかなりの不利になるわけだ。

 そんな断然人気の期待値が低い状況で、私が「期」マークという、非常に期待値の高い馬として本命にしたのがクリノトルネード。1200mからの短縮ショック馬だった。

 ただ、短縮の場合は余計に、直線競馬に適性がないと危ない。では、どのように直線競馬の適性を見出せばいいのか?


 直線適性を考えるのに重要なポイントとしては、「S質」「テンのスピード」「揉まれ弱さ」の主に3つが挙げられる。

 同馬の場合は、以前に一度だけ逃げたことがある。そのときが、休み明けの1200mで、テンが33.3秒だった。これはテンのスピードを証明すると共に、休み明けで気分良く逃げたという走りっぷりに、S質の強さを感じさせる。そこで本命にした。


 対抗には9番人気のアイティクイーンを選んだ。前走がダート。ダートからのショックは、「一本調子に走る」という直線競馬が本質的に要求する「S質」を喚起させることができて、かつ「フレッシュさ」を与えられる。

 またクリノトルネードは5枠、アイティクイーンが6枠。中枠が有利だった前週の馬場のままなら、完全にこの万馬券で決まりだろう。

 結果は、クリノトルネードが勝ったものの、断然人気のメトログリペンが2着に粘り、アイティクイーンは3着。単勝4.3倍とワイドの13倍は美味しかったが、万馬券は取り逃がしてしまった。

 これは、4着に8枠、5着にも7枠が来たように、この日の馬場が外目有利に急に変わったからだ。
 またペースが遅く摩擦係数が下がったために、ストレス馬の方が短縮馬より有利になった点も見逃せない。そのために馬単万馬券1点目的中を逃したわけだが、馬場とペースという2つの誤算が当日発生しながらも、確実に稼ぐことはできた。これが買いたい馬がいるときの、直線競馬の面白さの1つでもある。

 来週は残りの3レースを検証していこう。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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