ダービーの馬券は、デボネアから買ったので外したが、オルフェーヴルの勝ちっぷりはあっぱれだった。順調に夏を乗り切れば、三冠達成は大いにあり得るだろう。
父のステイゴールドはクラシックどころか、国内ではGIのタイトルを一つも勝てなかった馬だ。しかし、その産駒が三冠にリーチをかけたことじたいは、サラブレッドの世界においては不思議でも何でもない。
過去300年以上に及ぶサラブレッドの歴史は、その繰り返しだった。むしろ「競走馬と種牡馬の逆転」が、サラブレッドの能力をここまで向上させたと言っていい。
三冠馬ディープインパクトは、ダービーに4頭を送り込んだが、トーセンレーヴの9着が最高着順。トーセンラーが11着、コティリオンが14着、リベルタスは競走中止となった。
桜花賞はディープインパクト産駒のマルセリーナが勝ったものの、皐月賞、ダービーはステイゴールド産駒のオールフェーヴル、オークスはデュランダル産駒のエリンコートが勝つ結果に終わった。
クラシックに実績がなく、種付料が安かった種牡馬の産駒が、三冠馬で高額シンジケートが組まれたディープインパクトの産駒を、みごとに蹴散らして勝利した。
どれもみな父の父はサンデーだから、「サンデー系の天下」であることには変わりない。しかし、サンデー自身の全盛期とは中身が大きく異なっている。
サンデーが築き上げた成功神話、つまり、「サンデー×エース級の繁殖牝馬=勝利の方程式=投資を惜しまぬ人が成功を手にする」という神話は、これで完全に崩れ去った。
値段の安い掘り出し物が走るのも、競馬の面白さの一つだ。しかし、これが頻繁に起きると、大口馬主の投資意欲を減退させてしまう。
彼らを「カモネギ」で終わらせないためにも、来年のクラシックを目指すディープインパクト産駒の高額馬たちには、大いに奮起してもらわなければならない。