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直線競馬の見極め方(3)

  • 2011年06月08日(水) 18時00分
 高速上がりを計時して好走したことは、上がりの速くなりやすい直線競馬の適性を示しているのは説明するまでもないだろう。だが、それよりも重要な意味が、この上がりには隠されている。

 サアドウゾは逃げたこともある馬だ。それが追い込んで高速上がりを出したということ。これは、サアドウゾが一気に加速し、それを持続する心身的な特徴を持っていることを意味する。
 一瞬の爆発力があるということだ。それと同時に、爆発は一瞬のもので、それをコントロールするのが難しいということも暗示している。

 もし、常時エネルギーを全開にできるのなら、追い込んだり逃げたりする必要はない。好位から横綱相撲で押し切れるだろうし、そもそもそんな馬がこのクラスにいるわけもない。

 精神コントロールが難しい馬に、気分良くエネルギーを爆発させるためには、精神の解放が必要であり、いきなりスタートから解放させるか、ためにためて直線で爆発させるか、その何らかの方法しか取れないのだ。だから成績が安定しない。

 しかし、これが直線競馬ならどうだろう?

 そのような精神コントロールの小細工を弄する必要はなく、スタートからそのまま、精神の奔放に任せて、エネルギーを解放すればいいだけである。

 結果、飛翔特別ではかなりロスの多い競馬をしたのにも関わらず、圧倒的な強さで1着(ちなみに同馬は、その直線適性と格上げ戦の鮮度で、次走も1着した)。

 危ないと評した1番人気スイートティアラは連続で同クラスの直線好走後のために心身ストレスのあって8着、2番人気アナタノネガイは4着に終わった。お陰で馬単57倍で稼ぐことができたわけである。

 最後のレースは翌日の駿風S。

 このレースは、見てすぐに本命を決めた。
 2番人気のレオパステルだ。自身にとって長い1400mを2回走らせて、気分転換させている。それと同時に、1400mなのに後ろから差す形で我慢する競馬をさせていた。

 この後方待機策が、行き脚がつかないでやっているものなら危ないが、我慢させているというのが、この間も書いた重要なポイントだ。
 何故我慢させたものか分かるかと言えば、レースを見る以外の方法としては、やはりそれまでの戦績をチェックすることだ。

 この馬は小回り福島の1200mで2番手から4角先頭で押し切っている。つまりスピードがある。ただ昔の話なので、今ダッシュ力が鈍っていれば困るのだが、それも3走前を見れば問題ない。多頭数中山1200mで、テン33.6秒の激流を4番手から競馬をしたのだ。まったく問題ないことが分かる。

 このときが13着惨敗。恐らくこの惨敗を見て、行かせるより押さえ込んだ方がいいタイプと判断して、ここ2走は押さえ込んでいたのだろう。

 では、何故スピードがあるのに、行かせたら失速したのか?
 それはやはり精神コントロールの難しさにある。ならば、我慢する必要もなく、スピードとコントロール不能な精神的混沌を解放できる直線競馬は大きくプラスに作用するはずだ。

 唯一最大の問題は、前走が重賞だった点。そのために、疲労が出る可能性があるし、無意味に人気になるかもしれない。もし、前走が準OPで6着なら、完全なる勝負レース、有り金を賭けるべきレースになったのだが…!

 で、当日は10kg減。少し反動が出てしまった。それでも勝てるかと思っていたが、内枠の馬が1、3着。前日の直線から外有利と読んでいたが、逆だった(現在の直線競馬は1日たつと馬場が変わるので注意してほしい)。

 そんな状況でも2着と連は確保。他に買いたい馬もいなかったので、単複勝負でそれなりに稼ぐことができたのだった。

 このように、直線競馬はその適性を肉体機能と精神的特徴の2つから判断する作戦が望ましい。
 それに加えて、特殊な条件だけに、その鮮度も十二分に考慮する必要がある。心身と鮮度という、Mにとって重要なキーワードを駆使して、みなさんも直線競馬で大いに稼いでもらいたい。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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