サッカーボーイとサクラバクシンオー。ともに非サンデー系で、しかも主流外の古めかしい父系でありながら、予想外の大成功を収めた種牡馬である。
その秘密は、2頭に共通する「母の父ノーザンテーストにあった」と考えている。サンデーが台頭する以前、1980年代から1990年代にかけて、長きにわたって君臨したこの偉大な種牡馬が、母の父に入って遺伝力をサポートした、と。
初年度の産駒からアストンマーチャン(スプリンターズS)を出したアドマイヤコジーン、2年目の産駒からエリンコート(オークス)を出したデュランダル。この種牡馬入り当初の評価を覆した2頭も、やはり母の父にノーザンテーストが入っている。
今夏、初産駒を競馬場に送り出すダイワメジャーは、父が遺伝力の確かなサンデーで、母の父がそのノーザンテースト。水準級以上の成功はまず間違いないとみる。
母系は日本を代表する名牝系「スカーレットインク系」で、半妹にダイワスカーレット(桜花賞)、近親にヴァーミリアン(ジャパンCダート)など、活躍馬が多数いる血統背景も申し分ない。
ダイワメジャー自身も皐月賞を勝ち、古馬になって天皇賞・秋、マイルCS(2回)、安田記念を制した。スカーレットインク系の持ち味は、仕上がりの良さ、スピード、パワー、頑健さ、したたかな成長力にあるが、そのすべてが凝縮されていた。
ダイワメジャーの種牡馬としての特徴は、このスカーレットインク系の特徴をイメージしていいように思う。2歳戦の早くから楽しませてくれ、その勢いをクラシック戦線に持ち込んでくれることだろう。
マイラーだったデュランダルがオークス馬を出したように、サンデー系の種牡馬は柔軟な和合性があり、配合牝馬に応じてさまざまなタイプを出す。
ダイワメジャーも短中距離馬だったが、配合牝馬がステイヤー系なら、2400m級で活躍する産駒が出ることもあるだろう。産駒の距離適性に関しては、競走時代のイメージに固執すべきではない。