スマートフォン版へ

プロキオンSに彗星現る!?

  • 2011年07月07日(木) 18時00分
 今週の栗東トレセンは、完全に夏モード。

 少しでも、涼しい時間帯に調教ができるように、馬場開場は午前5時になりました。それでも、6時を過ぎた頃には気温は26度に上昇! 毎日、暑いです。

 そうそう、先週の競馬は熱くなりましたよ〜。何しろ、僕の同期が大活躍でしたからね。まず、ラジオNIKKEI賞を福永祐一騎手がフレールジャックで勝利。

 さらに、わっクンこと、和田竜二騎手が通算700勝を達成。調教スタンドでわっクンに「おめでとう!」と言うと、嬉しそうに「ありがとう! やっと競馬のことが分かってきて、面白くなってきたよ。だから、もうチョット頑張って競馬を盛り上げていかんとナ。レースに乗るって楽しいぞ〜!」と話してくれました。

 関東でも柴田大地騎手が中山グランドジャンプ制覇をなしとげていますし、そういったニュースを。「伝える者」として僕も競馬を盛り上げていきたいなと思いましたね。

 さて、そんなわっクンがプロキオンSで跨るのは、ダノンカモン。池江先生に現在の状態をうかがうと「蹄の心配もなくなって順調にきている」とのこと。調教をでの動きにも軽快さがありましたし、これは期待できそうです。

 しかし、このレースには好メンバーが揃っていて、簡単には勝てなさそう。やはり、一番の強敵は昨年のこのレースの覇者ケイアイガーベラでしょう。

 前走のポラリスSでは、牡馬に混ざって56.5kgを背負いながら3着。平田先生はこのレースを「持ち味のスピードを活かせず、馬込みの中で砂をかぶりながら、よく我慢して巻き返してくれた」と振り返りました。

 たしかに、あの粘りは素晴らしかったですよね。

平田修調教師

 さて、今回のレースですが先生は「ハナを行った方がいいけど、ここ最近は中団でも力を出せるようになってきた。精神的に大人になってきたってことかな。追い切りではラスト11秒台といい時計を出したし、右回りの1400mはこの馬にとっていい舞台。なんたって、この条件で3勝しているからね。輸送も近距離だから問題ないよ」とおっしゃいました。

 馬体も大きく、ふっくらしていましたし、なにより背中の柔らかさが印象的。なんだかやってくれそうな気配がしました!

 そのガーベラを人気で追うのはナムラタイタン。前走のオアシスSで、約1年ぶりの復活Vを果たしました。

 この5年のブランクは、高沢助手が話してくれた「昨年のプロキオンの後、熱発が続いてなかなか体調が戻らなかった」ことが大きな原因だったようです。

 しかし、現在は「夏負けもなく、好調をキープしています。馬も自信を付けてきたみたいですよ(笑)。だって、今までは競りかけられると嫌がってレースを止めてしまっていたのに、前走は好位で折り合っていましたからね。しかも、距離も克服できました。これは、大きな収穫でしたね」とのこと。

 馬房にいるタイタンは、元気一杯。馬体も立派で、無駄な部分がそぎ落とされ、血管が浮き出て張りがありました。

 熊沢騎手は、「今、一番具合がいいよ。だって、どんな競馬もできるからね。スピードの乗りもよくって、ラストも手ごたえよく伸びるんだ。いい脚持っているんだよね。斤量が前走より1.5kgも軽くなるのはプラス材料。馬体に堅さもなくなってきたし楽しみだよ」と笑顔で答えてくれました。

 ちなみに、前走のパドックでは馬っ気を出すほど元気一杯で、ファンの注目を集めていたんだとか。高沢さんは「自分が笑われている?」と思っていたそうですが…。ただ、普段もレースのときも、このぐらい「やんちゃ」になっているときの方が調子がいいんだそうですよ。

 今回、トレセンでは間違いなく「やんちゃ」していたので、あとは当日のパドックでどうか…ですね。

 さて、そのタイタンが勝ったオアシスSで2着となり、今回雪辱を期しているのはシャアです。

 実は僕、この馬に注目しているんですよ〜。だって、七夕の週に赤い彗星が出走するんですよ! もちろん実力もあります。

 そのシャアを操るのは小坂忠士騎手。これまで、このコンビで21戦し、[5-6-6-4]という安定感ある走りをしています。

 小坂騎手にシャアの魅力を聞いたところ「いつもマイペースでタフなんです。これまで、追い切りでも息が上がったことがありません。初勝利のときも、連闘だったにもかかわらず、しっかりした脚を使い、レース後はケロッとしていました(笑)」と話してくれました。

シャア

 マイペースぶりは、担当の遠藤助手の折り紙付きで、「レース当日も、装鞍所に行くときに、2本脚で立って歩いてみたり…。でも、そういう自分のやりたいことを終えると、レースに集中するんですよ。レースでは、抜け出してしまうと遊ぶところがあるので、ジョッキーが気をつけて乗ってくれています」とのこと。

 なかなか、やんちゃなんですかね。そういえば、小坂騎手が「下の条件でやっているときは、ペースが合わなくて折り合いを欠くことがありました。それを、なだめながら成長を待って、少しずつやってきたんです。」って言ってましたっけ。

 しかし、リングバミに替え、舌を縛るとレースへの集中力も高くなったそうです。おかげで、能力を発揮できるようになり、現在のような走りができるようになったわけ。

 今回はいよいよ初の重賞挑戦。水曜の追い切りでは、なかなかいい動きをしていましたからね。これから、シャアの逆襲がはじまります!

 今年のプロキオンSは、例年行われる阪神ではなく、京都が舞台。京都ダート1400mは先行有利ですし、面白いレースが見られそうです。

 毎日暑いですが、週末は京都競馬場で森林浴をしながら、レースを楽しもうと思っています。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング