さて、先週のつづきだが、なぜ7月30日7Rの直線1000mレースで、本命をサクラブライト、対抗をアイティクイーンにしたかだ。
芝の1600mという緩い流れを、後方で競馬をした後に、短縮のダート1200mですぐさま先行できる。これは、かなりS質な要素がないとできないことだ。
同じことが先週紹介したサクラブライトにも言える。ダート1200mを逃げる前のレースで、芝1400mというL条件で2番手から競馬をしていたのだ。
短縮のダート替わりという極めてS化していく過程の中で、前走より前に行こうとする、あるいは行くことができる性質。これは、単に「ダート短距離を先行した」ことより、より獰猛なS質の存在を示唆している。
また2頭が牝馬というのも、斤量面で有利だ。
レースは結局、サクラブライトが外ラチ一杯によって圧勝(これが後に私の読みを鈍らせたのだが)、2着にアイティクイーンが入って、馬単26倍を1点目で当てることができた。これでアイビスSDに続いての直線競馬馬連1点目的中となったのだった。
迎えた翌7月31日日曜の新潟12R。本命は躊躇なく9番人気のフェイスフルラバーとした。
まず、初の直線競馬であること。そしてレース間隔が中10週開いていること。さらには、これが初の古馬戦であること。そのすべてが、鮮度の高さを表していた。
特に最後の「初古馬戦」というポイントは、重要だ。よく、「初の古馬との対戦だから、慣れてから」というような話を聞くが、もちろんこれが間違った発想だということは、これまで連載を読んでいる読者なら、説明するまでもないだろう。
「慣れる」こともあるが、「飽きる」スピードの早さが、それを上回ることの方が多いのである(慣れることが上回る希なケースに関しては、いずれこの連載でパターン別に解説していこうと思う)。
ところで、毎年、「今年の3歳は強い」という話が出てくるような気がしないだろうか?それは、最初のうちは古馬との対戦数が少ないので鮮度があるから、3歳が激走しやすいのに過ぎない。慣れてないぶん、飽きてないから激走できるのだ。
初期の段階で3歳が活躍するのは、何ら世代間の強さを表す指標にはなり得ない。
ということで、フェイスフルラバーは直線競馬で重要な鮮度は充分。
次はS質の存在だが、常に小回り1200mのハイペースをついて行っている点、テンが33.0秒の超ハイペースだった3走前に6番手から競馬をしている点から、必要最低限のS質は備えていると判断できる。
ダート経験がないのは嫌だが、その代わりになるのが、2走前の新潟内回り1200mでの勝利だ。ハイペースで稍重の重い馬場を、休み明けから気分良く対応する。これはS質の存在を示唆する。
基本的に、芝もダートも馬場が渋ると、S質の要求度は上がると判断していい。つまり、直線競馬だから高速芝の実績が必要だという考えは、あまり有効ではないのだ。むしろ芝のキャリアなら、時計のかかる重い馬場での強引な走りを評価するべきである。
そして最後は、斤量。3歳なので軽いし、減量騎手の平野優を起用しておりさらに軽い。
以上から、9番人気では美味しすぎる馬であり、迷わず本命になる。ただ、今回は相手を間違ってしまった。前日に本命が外ラチ沿いを圧勝したので、内枠は厳しいと判断してしまったのだ。したがって、相手にはフェイスフルラバーより外の馬をずらりと選んだ。
ところが、前日のサクラブライトのラチ沿い圧勝は単に強すぎたということだったのか、あるいは馬場が変わったのか、その辺は定かではないが、外ラチは伸びない状態になっていた。そういう状態で外に馬が殺到するわけだから、今度は揉まれない内枠が断然有利になる。
結果、勝ったのは1枠の12番人気ラルティスタ。今回が休み明けで、初の直線競馬。鮮度は充分だし、ダートは1回だけだが、それが芝1400mというL条件からの短縮だったのに、逃げて3着に好走。今まで書いてきたS質の証明パターンとしては充分な形だった。
ということで馬連は外してしまったが、またしても本命が連対し、複勝の650円でがっちりと儲けることができたのである。
次週は、芝1400m以上における、距離の年齢問題を考えていこう。