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北九州記念で女王誕生

  • 2011年08月11日(木) 18時00分
 今週は真夏の快速馬決定戦、北九州記念です!

 小倉は高低差が約3mと比較的アップダウンの少ないコースなので、スピード馬優位の軽快なレースが行われます。

 そこで、今回はスピード馬を中心に取材をしました。

 まずは、小崎厩舎のエーシンヴァーゴウ。前走のアイビスサマーダッシュでは、上がり31.8秒を出して快勝。しかも、1200mでの安定した戦績をもつうえ、ただいま3連勝中ですからね。当然、陣営は「この勢いでサマースプリントを狙っていきたい」と電撃女王を狙って意識しています。

エーシンヴァーゴウ

 高田持ち乗り厩務員は「精神面も落ち着いて、どっしりしてきました。追い切りには僕が乗りましたが、乗り味よかったですよ。坂路でいい走りをしました。これまで、スピードがありすぎて、上手くコーナーが回れませんでしたが、それもキッチリ調整しましたよ」と胸を張って答えてくれました。

 馬体は全体のバランスがよく、牝馬とは思えないぐらい、どっしりした構え。特に大腿の筋肉が太くて、パンパンに張っていました。この筋肉がいいということは、スピードがある証拠です。

 また、蒸し暑い日にもかかわらず、発汗はあまりなく、息の入れもよかったですね。これは状態良好と見ました。

 このレースを勝てば、サマースプリント単独首位。現在、同点のカレンチャンに差をつけることができます。カレンチャンは8月28日(日)のキーンランドCを予定していますから、その先のセントウルステークス(9月11日)で女王の座を賭けた戦いが見られるってことですよね。

 これは、楽しみです!

 もう1頭のエーシンである高野厩舎のエーシンリジルも、前走の船橋Sを上がり33.8秒で勝利しています。

 高野厩舎は先週のダリア賞をエイシンキンチェムで勝ったばかり。川平厩務員もリジルの手入れをしながら、「キンチェムに続きますよ〜!」と元気に話してくれました。

 また、「息遣いもいいし、気性が前向きになってきたのが、最近の好走につながっていると思います」と川平さん。

 追い切りでもその前向きさを発揮。川田騎手を背に坂路に入ると、道中ではグッと重心を沈ませ、シャープな動きでスピードのあるところをアピール。時計は51.6-37.6-24.1-12.1秒で、いい内容でしたよ。

 川平さんは「馬込みでひるまないですからね。道中ではどれだけ辛抱してくれるか。距離が短いぶん、ハミを取るのに時間がかかったらダメ。だから、ちょっとしたタイミングも見逃さない乗り役がいいですね」と川田騎手の手綱さばきに期待をかけていました。

 あっ、ちなみにキンチェムはこのあと放牧に出る予定。夏はゆっくりと過ごして、秋に向けての力を蓄えるそうです。こちらも、秋の活躍が楽しみですね。

 さて、僕がズ〜っと追いかけているヘッドライナーも出走予定。前走アイビスサマーダッシュでは上がり33.3秒をくり出しながらも11着。

 西園先生は敗因を「現地になれさせようと、余裕をもって1週間前に新潟入りさせたのも悪かったかも」と振り返りました。

ヘッドライナー

 なんでも、新潟の待機馬房の入ったとたん「レースだ!」と勘違いし、入れ込んだうえに、飼い葉を食べなくなってしまったんだとか。

 雪辱戦となる今回は、追い切りに山本助手が騎乗。時計は坂路単走で57.1-37.0-24.1-12.2秒でした。もう、仕上げも完璧!

「今回は前日輸送で競馬をしてくるよ。幸君も向こうで待っていてくれるから安心だしね」と西園先生。

 先行力を生かせる小倉なら、きっと力を発揮してくれるでしょうね。応援しています!

 さて、ここで僕の気になる馬をご紹介。それは、松永幹夫厩舎のサンダルフォンです。このレース、09年は1着、昨年は3着と大得意。

 なので、松永調教師は「巻き返しを狙っていますよ!」とやる気十分です!

「もともと夏に強いからね。乗り役は(酒井)学でいくよ。学が一番サンダルフォンのことを分かってくれているからね」(松永幹師)

 酒井騎手、幹夫先生からこれほど信頼されるとは、うらやましい。信頼できる相棒・酒井騎手と2度目の北九州記念制覇を目指します!

 さて、厩舎をもう一回り…と思っていると、タマモナイスプレイの追い切りを終えた南井騎手の姿が。

 タマモナイスプレイの追い切りは、坂路で50.7-37.1-24.4-12.4秒と、なかなかの好時計。しかし、南井騎手は「50.7で、終いが12.0は行き過ぎ。ちょっと、違う汗をかいたよ〜」と言いました。

南井騎手

「でも、動きもよくて快調です。充実していますね。それにしても、ハンデ57kgは重すぎますよ…」(南井騎手)

 たしかし、好メンバーの揃ったこのレースで6歳馬のナイスプレイに57kgは酷でしょうかね。しかし、南井騎手は「まあ、右回り、左回り関係なく走りますし、渡辺騎手が上手く乗ってくれますよ。メチャ速い馬ではないですから、他馬が引っ張ってくれる流れでの競馬がしたいうですね」と気を取り直して話してくれました。

 安定した走りをする馬ですから、ここも頑張ってくれそうです。

 追い切り日の栗東は、かなり蒸し暑くて、みんな汗だく。馬も熱中症にならないように、厩舎内にミストをつけるなどして工夫しています。みなさんも、暑さ対策をして競馬場へお越しくださいね。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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