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芝1400mでの距離と馬齢の関係

  • 2011年08月17日(水) 18時00分
 今週は、芝1400m以上における、距離の年齢問題を考えていこうと思う。

 芝1400mになると、6歳以上の重賞成績はガグンと下がる。

 この間書いた、「どうしようもない軽さ」の壁があるわけだが、連対率を見ると1200mと大差がないことが分かる。芝1200mの連対率が0.108に対し、芝1400mが0.101だから、ほとんど誤差の範囲だ。

 複勝率に至っては、0.156とまったく同じである。回収率の高い1600mと比べれば、むしろ連対率、複勝率では上回っている。

 では、何が回収率を下げているかというと、一番目の理由としては、9番人気以下の人気薄の激走がほとんどない点が挙げられる。

 1400mは非根幹距離の中でも一番軽い距離として、Mでは知られている。したがって、生命力の必要はあまりなく、高齢になっても走れる距離なので、好走率が極端に下がることはない。

 ところが、1400mを走る馬は「量系」が多く、量系は人気になりやすい。そのため、人気薄の激走が減る傾向にあるのだ。ただし、若い馬でも回収率は同じ理由で下がりやすいので、これは決定的な理由ではない。

 人気薄の激走が少ない最大の理由は、1400mは軽いためにストレスの影響を受けにくく、好調馬がそのまま走るパターンが多くなる点である。

 そうなると、ずっと短距離のトップクラスを走っているような古馬の場合は、好調でリズム的な躍動感があるのに格上げ戦や相手強化で人気薄というケースは減ってしまうので、回収率的には不利になる。人気薄の激走可能性は、他の世代より減ってしまうわけだ。

 人気薄の6歳馬は単勝回収率61円、複勝回収率82円と、意味のあるような特徴的な数字ではなく誤差の範疇なのだが、7歳以上の人気薄の複勝回収率が36円と際だって低い。7歳を超えると、激変可能性がかなり減ってしまう距離ということになる。

 2番目の理由としては、人気馬の信頼性である。

 1〜3番人気の集計では、勝率で2〜5歳世代は18%を超えるのに、6歳は11.4%と明らかに低く、7歳以上も16.7%と低い。

 1〜3番人気の集計だから、人気馬が多いとかそういう問題ではない。実際、単勝回収率は50円台と人気馬としてはかなり低い(しかも3番人気以内の集計なので、とんでもない人気薄が走ることによって数字が上下するということもないので、データの信憑性も高い)。

 人気馬は、基本的に前走ある程度好走した馬が多い。そのストレスの中(1400mの場合は疲労の要素の方が大きいが)、勝ち切るに至らずに、2、3着になる馬が高齢馬には多いということだ。WIN5においては、覚えておきたいデータである。

 ただ、それは1400m以外の距離でも言えることではある。

 人気馬の期待値が低いもう1つの理由は、1400mの重賞がGIIばかりでハンデ戦もなく、古馬の実績馬になると、過去の実績だけで不当に重い斤量を背負わされるレースが多いということも影響している。

 そのため、人気馬は好走しても勝ちきれないというケースが増えるのだ。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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