スマートフォン版へ

ディープインパクト産駒・検証編

  • 2011年08月24日(水) 18時00分
 今回は、ちょっとこれまでやった種牡馬の解説を検証しておこうと思う(その後にまた年齢問題を見ていく)。というのも、昨年デビューしたディープインパクト産駒など、連載で解説してきた産駒がデータを積み重ねて徐々に熟成されてきたからだ。

 まずはそのディープインパクト産駒だが、以前連載で解説したベストクローンという馬のその後を検証してみよう。

 3月6日の小倉芝1200mの未勝利戦。このレースでは、短縮で、かつ外枠だったため、揉まれずに短縮を成功させる可能性が高いとして狙ったのだった。結果は1着。

 次のレース(11/3/19、はなのき賞)は、同じ小倉芝1200mでも最内枠。短縮を決めた後のストレスもあって4着に敗れた。

 ここまでは前回解説したわけだが、その後この馬はどうなったのだろうか?

 次の1400mのレース(11/4/24、東京)では、以前開設したように道悪を苦手とするディープインパクト産駒ということで13着。

 また、使い詰めのディープインパクト産駒というのも、惨敗の原因だったと思われる。4キロ減の出走で、新馬からは16キロ減。使い込みながら馬体が減っていくディープインパクト産駒は精神的に煮詰まりやすいという、以前の解説通りの結末に終わったのだった。

 陣営もそのことを理解して休養。しかし、中9週も開けた次走(11/7/3、中山芝1200m)で、さらに2キロ減。この馬体重では絶対に要らない。馬体重の発表を見て、速攻切れるというパターンである。

 続く直線レース(11/7/31、新潟芝1000m)で惨敗した後、先週のニセコ特別に出走。惨敗後と言うことで、7番人気に人気を落としていた。

 ここでの判断は難しい。というのも、前走大幅に馬体を戻して、精神的な煮詰まり感からは脱したものの、札幌へ輸送して中2週での出走。

 北海道競馬は特殊な環境なので、精神的に不安定なタイプにはプラスになる場合もあるが、環境変化が逆にマイナスになる場合もある。謂わばこういうタイプに北海道はギャンブルである。

 ただ、今回プラスポイントがあった。直線を経験しての延長だった点と、外枠だった点だ。

 激流におけるディープインパクト産駒は、いかにスムーズに流れに乗れるかが重要というのは、以前解説した通りである。そういう意味では、外枠と直線競馬の刺激はプラスの評価ができる。

 ということで、一応相手の1頭という評価にした。結果は、緩めの流れの中、スムーズに前に行けたことで気分良く走れた為、押し切り勝ち。

 S質な条件に向かう場合のディープインパクト産駒にとって、スムーズさや気分の持続が、いかに重要かを如実に表す結果に終わった。

 このベストクローンとは対照的に、穴狙いの人間にとって厄介な存在になっているのが、やはり以前ここで話題にしたボレアスである。

(次週につづく)

[※注]
S(闘争心)
M3タイプの一つで、闘争心を持つ馬を表す。他馬との関係性を絶ち、自分勝手に一本調子に走りきろうという性質。Sの由来は闘争を表す“Struggle(英)”の頭文字から。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング