サマー2000シリーズ最終戦の新潟記念は、毎年ドラマが生まれますよね。
2009年はホッコーパドゥシャが勝って、シリーズ逆転優勝。昨年のナリタクリスタルは、このレースで初重賞制覇を果たしました。
連覇がかかっているクリスタルは、昨年と同じ小倉記念からのローテーションです。
木原先生は前走を振り返って「挟まれて前に出られずの6着だったけど、レコード決着のレースだったからね。クリスタル自身も、去年より速い時計で走った(10年は1分58秒2、今年は1分57秒8)。だから、期待大だよ」と新潟記念でも「やれる!」という手応えをつかんだ様子。
今週の追い切りは、CWコースで終い重点の内容。5F72.2-1F12.6秒で気合いの乗った走りを見せました。
この動きに木原先生も満足そう。「去年勝ったときより、馬のリズムがよくなっている」と自信を持って話してくださいました。
しかし、いくつか心配なことが…。まずは、斤量。
「去年は55kgだったけど、今年は57.5kg。2.5kgも重いんだ…これって厳しいよね」と木原先生は苦笑い。
もうひとつの心配は、あの気性。
これに関しては木原知之助手が「気性にムラがあるんでね…。でも、その気になって走ると最高のパフォーマンスを見せてくれますから」と不安半分、期待半分のコメント。
気まぐれな気性を考えたら、作戦第一! というわけで、木原助手に理想的な展開を聞いたところ「前走は挟まれて嫌気が差したみたいだから、前に行った方が走ってくれると思います。なので、ゲートが開いたら勝負です! この馬、ゲートの出はいいですからね。ユタカさんも、そう言っていましたよ」とのことでした。
鞍上と陣営の考えが一致しているときって、「やれる!」ときが、多いんですよね。馬も気合い十分なようですから、いい走りが期待できそうです。
同じく小倉記念から、このレースに臨むヤマニンキングリー。
昨年のシンガポールで鼻出血して以来、調子が上がらず苦しいレースがつづきましたが、前走の小倉記念では約7か月半ぶりのレースにもかかわらず4着と好走しました。
復調気配を見せただけに、今回の追い切りには河内先生自らが手綱を取る気合いの入りよう。時計もCWで5F65.1-1F11.7秒と好時計でした。
河内先生は「着実に体調はよくなっているよ」と自信のコメント。また、初の新潟挑戦に関しては「手前を上手く替えられる馬だから、新潟の長丁場も大丈夫。上手く脚を溜めて競馬ができれば、(勝利を)狙っていけると思うよ」と白い歯をのぞかせてニッコリ。
さて、普段のキングリーですが、シャワーが顔にかかってもへっちゃらという性格。けっこう、落ち着いています。
馬体もどっしりしていて大きいんですよ。でも、最初は450kgほどしかなかったんだそうです。それが、「放牧に出るたびに大きくなり、頼もしくなっていったんだよ。今では520kgぐらいあるよ」と担当の厩務員さん…ん? あっ、お父さん!
なんと、キングリーの担当は、和田竜二騎手のお父さんである和田守厩務員。これまでアルファキュートなどを担当してきた腕利きなんですよ。
そんなベテランの和田厩務員が「息づかいもよくなってきた」というキングリー。しかも、今のキングリーはガッチリした大きな体。そのうえに胴が長くて、いかにも長距離を走りそう! という馬体ですから、復調の勢いに乗って久々の重賞制覇といきたいところです。
応援してます!
と言いつつ、サンライズベガも気になるんだよな…と悩みながら音無厩舎へ。
馬房でくつろぐサンライズベガを見せてもらったんですが、首が太くてガッチリしてましたね。
蛭田助手は「夏バテもしていないし、飼い葉食いもいいので順調にここまでこられたよ。ここ2、3走はこの馬らしい走りができていないけど、本来持っている差し脚を生かして巻き返したね」と話してくれました。
レースを楽しみにしています。
ところで、メイクデビュー戦も佳境に入ってきましたよね。そんななか、今週の日曜札幌でデビューするヴィルシーナが好気配を見せていました。
「先週の追い切りでは、うちの厩舎の新馬2頭と併せて最先着。絶好の動きをしました。父ディープインパクトから素質を十分に受け継いでいますね。雰囲気のある馬です」と友道先生。
この馬の母ハルーワスウィートは、先生が技術調教師としてノーザンファームで研修をしていたころ、任されていた馬なんだそうです。そして、先生が開業すると友道厩舎へやってきました。
「ハルーワスウィートは尻尾のない馬でね。そういうハンデを持ちながらも懸命に走ってくれました。そうして、うちの厩舎の基礎を作ってくれたんです」(友道師)
そういうわけで、その息子には、やはり思い入れがあるそうです。デビュー戦が楽しみですね。
その他にも、たくさんの2歳馬が各地で調教中。まだまだ幼いので、みんな元気に跳ね回って可愛いですよ。
暑い日が続いていますが、栗東の坂路には赤とんぼが飛び始めました。もう時期、秋になるんですよね。この2歳仔たちが、2歳重賞を目指してしのぎを削る日が、もうすぐそこまできているなだ〜と感じました。