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新潟記念でドラマが!?

  • 2011年08月25日(木) 18時00分
 サマー2000シリーズ最終戦の新潟記念は、毎年ドラマが生まれますよね。

 2009年はホッコーパドゥシャが勝って、シリーズ逆転優勝。昨年のナリタクリスタルは、このレースで初重賞制覇を果たしました。

 連覇がかかっているクリスタルは、昨年と同じ小倉記念からのローテーションです。

 木原先生は前走を振り返って「挟まれて前に出られずの6着だったけど、レコード決着のレースだったからね。クリスタル自身も、去年より速い時計で走った(10年は1分58秒2、今年は1分57秒8)。だから、期待大だよ」と新潟記念でも「やれる!」という手応えをつかんだ様子。

 今週の追い切りは、CWコースで終い重点の内容。5F72.2-1F12.6秒で気合いの乗った走りを見せました。

 この動きに木原先生も満足そう。「去年勝ったときより、馬のリズムがよくなっている」と自信を持って話してくださいました。

 しかし、いくつか心配なことが…。まずは、斤量。

「去年は55kgだったけど、今年は57.5kg。2.5kgも重いんだ…これって厳しいよね」と木原先生は苦笑い。

 もうひとつの心配は、あの気性。

笑顔が爽やか、木原知之助手

 これに関しては木原知之助手が「気性にムラがあるんでね…。でも、その気になって走ると最高のパフォーマンスを見せてくれますから」と不安半分、期待半分のコメント。

 気まぐれな気性を考えたら、作戦第一! というわけで、木原助手に理想的な展開を聞いたところ「前走は挟まれて嫌気が差したみたいだから、前に行った方が走ってくれると思います。なので、ゲートが開いたら勝負です! この馬、ゲートの出はいいですからね。ユタカさんも、そう言っていましたよ」とのことでした。

 鞍上と陣営の考えが一致しているときって、「やれる!」ときが、多いんですよね。馬も気合い十分なようですから、いい走りが期待できそうです。

 同じく小倉記念から、このレースに臨むヤマニンキングリー。

 昨年のシンガポールで鼻出血して以来、調子が上がらず苦しいレースがつづきましたが、前走の小倉記念では約7か月半ぶりのレースにもかかわらず4着と好走しました。

 復調気配を見せただけに、今回の追い切りには河内先生自らが手綱を取る気合いの入りよう。時計もCWで5F65.1-1F11.7秒と好時計でした。

 河内先生は「着実に体調はよくなっているよ」と自信のコメント。また、初の新潟挑戦に関しては「手前を上手く替えられる馬だから、新潟の長丁場も大丈夫。上手く脚を溜めて競馬ができれば、(勝利を)狙っていけると思うよ」と白い歯をのぞかせてニッコリ。

 さて、普段のキングリーですが、シャワーが顔にかかってもへっちゃらという性格。けっこう、落ち着いています。

 馬体もどっしりしていて大きいんですよ。でも、最初は450kgほどしかなかったんだそうです。それが、「放牧に出るたびに大きくなり、頼もしくなっていったんだよ。今では520kgぐらいあるよ」と担当の厩務員さん…ん? あっ、お父さん!

 なんと、キングリーの担当は、和田竜二騎手のお父さんである和田守厩務員。これまでアルファキュートなどを担当してきた腕利きなんですよ。

ワッ君パパこと、和田守厩務員&キングリー

 そんなベテランの和田厩務員が「息づかいもよくなってきた」というキングリー。しかも、今のキングリーはガッチリした大きな体。そのうえに胴が長くて、いかにも長距離を走りそう! という馬体ですから、復調の勢いに乗って久々の重賞制覇といきたいところです。

応援してます!

 と言いつつ、サンライズベガも気になるんだよな…と悩みながら音無厩舎へ。

 馬房でくつろぐサンライズベガを見せてもらったんですが、首が太くてガッチリしてましたね。

サンライズベガ、普段はけっこうお茶目?

 蛭田助手は「夏バテもしていないし、飼い葉食いもいいので順調にここまでこられたよ。ここ2、3走はこの馬らしい走りができていないけど、本来持っている差し脚を生かして巻き返したね」と話してくれました。

 レースを楽しみにしています。

 ところで、メイクデビュー戦も佳境に入ってきましたよね。そんななか、今週の日曜札幌でデビューするヴィルシーナが好気配を見せていました。

「先週の追い切りでは、うちの厩舎の新馬2頭と併せて最先着。絶好の動きをしました。父ディープインパクトから素質を十分に受け継いでいますね。雰囲気のある馬です」と友道先生。

 この馬の母ハルーワスウィートは、先生が技術調教師としてノーザンファームで研修をしていたころ、任されていた馬なんだそうです。そして、先生が開業すると友道厩舎へやってきました。

「ハルーワスウィートは尻尾のない馬でね。そういうハンデを持ちながらも懸命に走ってくれました。そうして、うちの厩舎の基礎を作ってくれたんです」(友道師)

 そういうわけで、その息子には、やはり思い入れがあるそうです。デビュー戦が楽しみですね。

 その他にも、たくさんの2歳馬が各地で調教中。まだまだ幼いので、みんな元気に跳ね回って可愛いですよ。

 暑い日が続いていますが、栗東の坂路には赤とんぼが飛び始めました。もう時期、秋になるんですよね。この2歳仔たちが、2歳重賞を目指してしのぎを削る日が、もうすぐそこまできているなだ〜と感じました。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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