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高齢馬激走の新たな秘密

  • 2011年08月31日(水) 18時00分
 ディープインパクト産駒にとって、いかに前走より厳しい流れに入らないかが重要で、母父にS系を持ってくるとその傾向が緩和されるという話を以前書いた。

 そのときに例に出したのがボレアスだったわけだが、その後もジャパン・ダートダービーを2着し、レパードSも1着と、激しいレース質におけるしぶとさを披露している。

 このディープインパクト産駒の配合問題を今回は深く掘り下げる予定だったのだが、急遽、予定を早めて、また話を高齢馬に戻すことにした。

 というのも、高齢馬を分析する上で、ちょうどいいサンプルがまた今週も重賞で発生したからだ。

 この連載は、毎週リアルタイムで更新されるので、その特徴を最大限に活かすべく、Mにとって示唆に富むレースがあった場合は、予定を変更してすぐに解説を入れていく形を取っている(ただ、ほぼ毎週のように、「示唆に富むサンプルレース」は発生するので、どんどん溜まっていって処理しきれないという問題も発生しているのだが)。

 特に今週起きた出来事は、Mのこれまでの理論を検証するに止まらず、新しい可能性を我々に提起していて、非常に興味深いものだった。

 それは新潟記念での7歳馬サンライズベガである。11頭立ての9番人気と、まったく人気がなかったのだが、私はこの馬を本命にしていた。

 M的なポイントがいろいろ詰まっていたので本命にしたわけだが、2着に激走した後に、私の頭をよぎったのは、それらの細かな条件設定ではなかった。「闘う意欲」という言葉だった。

 と同時に、同じような感覚をつい最近味わっていたことを思い出した。先週の札幌記念だ。やはり8歳の高齢馬で人気薄だったアクシオンを本命にして2着に激走したときに覚えたのと、これは同様の感覚だ。

 このとき、同じ人気薄の6番人気マイネルスターリーにするか、5番人気アクシオンにするか、どちらで穴を獲りにいくかで悩んでいた。ともに、M的な好走条件はあった。

 そんな中、最後にアクシオンを選んだ理由は「闘う意欲」、それだけだったのだ。2週連続で2000m重賞を人気薄で連対した2頭の高齢馬。この2頭に共通していた「闘う意欲」とは、一体なんだったのか?

 ステップによるものか、あるいはタイプか、それともその両方なのか?

 連載の中で、高齢馬の距離別の走りを分析しながら、私はなにか決定的な言葉の欠如を感じていた。

 高齢馬の問題を論じるのに、話を細部に集中しすぎて、加齢と共に訪れる現象の、もう1つの側面を蔑ろにしているのではないだろうか…。そんな不安が、私を何か酷く居心地の悪い気分にさせていたのだ。

 最初に触れた生命力の減少による、長距離重賞への対応能力の低下。

 それと比例しながら起きている、もう1つの現象(タイプ論についての新たなる問題提起)について、次週は話をしていこうと思う。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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