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高齢馬激走の新たな秘密(3)

  • 2011年09月14日(水) 18時00分
 ここまで見てきたように、今年の札幌記念の勝ち馬アクシオンは「C系の集中状態での内枠」、新潟記念のサンライズベガには「逃げの位置取りショック」というM的なプラス要素があった。

 ただ、それだけなら他の馬を選んでもいいだろう。例えば新潟記念なら、同じ7歳の高齢馬オペラブラーボを選ぶ選択肢もある。

 実際、出馬表をパッと見たときは、オペラブラーボでいこうかなと考えた。2走前連対のストレスで前走の多頭数の中山内枠を凡走し、今度は新潟外回り。L系オペラハウス産駒には、この「前走より流れが緩くなって気分良く競馬をする」というのは、得意パターンになる。恐らく、多頭数内枠の後方で揉まれた後に、流れ鈍化で、「前走より前に行く位置取りショック」を自然に決める可能性も高い。

 M的には買い材料が多い馬だ。雑誌『競馬王』(白夜書房)での私の担当K嬢も、「この馬から入っちゃいましたよぉ〜」と嘆いていた。

 さらには2、3走前に2、3着だから、二桁着順続きのサンライズベガと違って、「調子が悪い」というリスクもない(そういうこともあって、6番人気とサンライズベガより人気になっていたわけだが)。

 いくらいいショックが揃っていても、体調が走れないぐらい悪い状態の馬は、やっぱり走れない。M的なショックで狙っていくときに、一番怖いのが、この体調面だ。

 だが、その体調面のリスクを冒してでも、買うべきポイントがあった(そのリスクは、主に当日の馬体重で処理できることもあるが、それについては以前書いてきたし、また後の機会でも何度か書くことになるだろう)。

 それが「闘う意欲」である。

 高齢、しかも7歳を超える高齢になると、重要なのはこの要素なのだ。アクシオンはM3でいうC系血統、またサンライズベガはS系血統になる。

 ここで、昨年9月から1年間の重賞で3着以内に入った外国馬以外の高齢馬を全て列挙してみる(数字は、複数回3着以内に入った場合の回数)。

 トウショウシロッコ2(アドマイヤベガ)、シンゲン(ホワイトマズル)、キンシャサノキセキ4(フジキセキ)、ネヴァブション3(マーベラスサンデー)、ダンスインザモア(ダンスインザダーク)、ライブコンサート2(シングスピール)、ミヤビランベリ(オペラハウス)、モルトグランデ(War chant)、アーバニティ2(マンハッタンカフェ)、バトルバニヤン(ジャングルポケット)、サンライズベガ2(アドマイヤベガ)、シャドウゲイト(ホワイトマズル)、キングトップガン2(マヤノトップガン)、ヘッドライナー(サクラバクシンオー)、アクシオン2(サンデーサイレンス)、マヤノライジン(マヤノトップガン)、ビービーガルダン(チーフベアハート)。

 以上17頭(延べ29頭)なのだが、じっと眺めてみると、この中にはある共通した血統傾向を持った馬が多いことに気付く。

(次週につづく)

[※注]
C系(集中力)
集中して他馬との相手関係の中で走ろうとする性質。レース間隔を詰める、馬体重を絞る、内枠、強い相手との競馬など、摩擦の多い状況を得意とする。

M3
Mには3つの軸からなっている。横軸はメンバー間のストレス、その異端性。時間軸は競走馬のリズム、ショック療法。中心点は馬の構造分析(M3)からなり、馬の絶対能力ではなく、関係性から馬券の本質に迫る理論なのである。 この中心点(M3)も4つのタイプに分けられ、S(闘争心)、C(集中力)、L(淡泊さ)、M(まとまり系)に分けられる。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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