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ローズSは一発狙いで!?

  • 2011年09月15日(木) 18時00分
 秋競馬の始まり! と思ったのに、夏に逆戻りしたのかというぐらい栗東は暑いです。

 でも、ローズSの方が熱いかな〜。なにしろ、どの馬が勝ってもおかしくないメンバーですからね。

 まずは、桜花賞馬のマルセリーナ。水曜の追い切りは、新コンビとなるユーイチを背にCWへ入りました。テンはゆっくりでしたが、直線に入ってユーイチのゴーサインが出ると、溜めていた力を一気に爆発させ、ラスト1Fは11.5秒をマーク。

 さすが、桜の女王と思わせる、素晴らしい切れ味を見せました。

 追い切り後にユーイチに話を聞くと「札幌でも乗ったけど、追い切りでの動きも確かめたかったんだ。指示通りに動いてくれるし、反応もいい」とかなりいい感触を得た様子。

 やや心配なコーナーワークに関しては「少し下手みたいだけど、阪神芝1800はコーナーが2回だけだしね」とのことでした。たしかに、絶好調のユーイチが鞍上なら心配なさそうです。

 さらに、厩舎に行って取材しようと松田博厩舎へ向かうと…おぉ、想像以上の数の記者さんたちに先生が取り囲まれていました。

 それでも、怯まず「先生、今日のマルセリーナの動きはいかがでしたか?」と質問。すると、「質問するより、馬をよく見てや〜」とのこと。お言葉に甘えて、馬房でマルセリーナを見させていただきました。

 モクモクと飼い葉を平らげる姿はたくましく、春先より一回り大きくなった印象。また、全体にしなやかさが増したように感じました。

 調教での動きといい、馬体といい、文句なしのデキ。これは、期待できそうです。

 しかし、ライバルも強いんですよね。その筆頭は、エリンコート。春は3連勝で樫の女王に輝きました。

 8月10日に北海道の社台ファームから帰厩。戻ってきたときの印象を「かなり成長して、馬体が大きくなった。精神面も成長し、大人の女になった感じ」と黒田助手は話してくれました。また、追い切りにも黒田さん自らが跨り、最後の仕上げを施しています。

 その感触は「ぐんとパワーアップしていて、いいフットワークだったよ」と満足のいくものだったようです。

 もちろん、馬体の張りも、毛づやもよかったですよ。何より首が太くて立派。たしかに、力がありそうでした。

 相棒の後藤騎手も、この夏はアメリカで騎乗しパワーアップしていますから、楽しみですよね。黒田さんも「馬に合わせて乗ってくれるし、上手い!」と後藤騎手を絶賛していました。二冠目に向けて、好発進が切れそうです。

 しかし、桜も樫も惜しいところで涙を飲んだホエールキャプチャは、なんとしても最後の一冠はほしいところ。もちろん、そのステップであるここローズSもいい結果を得たいと陣営は本気モードです。今回も栗東の出張馬房に陣取り、虎視眈々と勝利を狙っています。

 日高助手は「馬体は春の頃から結構出来ていたんですが、夏を越して芯の入ってきました。また、精神面も大人になり、追ってからの反応もよくなってきました」と話してくれました。

ホエールキャプチャ

 たしかに、すっきりとまとまった、キレイな馬体をしていましたし、これは「一発、巻き返し」もありそうと感じましたね。楽しみな1頭です。

 さて、有力馬も気になりますが、僕が一番気になっているのはハッピーグラス。この馬のお母さん、ビッグハッピーには僕が現役時代、4勝もさせてもらったんですよ。

 よ〜くハッピーグラスの顔を見ると、お母さんによくにて美形なんです。

 春はフローラS(4着)、オークス(8着)と走ったのち、あずさ賞に出走して勝利。その後、リフレッシュも兼ねた放牧に出ました。栗東に戻ったのは8月中旬。

 藤原先生は「馬体重はあまり変わっていないけど、一回り大きくなったね。精神面も大きくなっているから頼もしいよ。相手は強いけど、どんな距離でもこなせるから、流れに乗って馬に折り合えば勝負できると思っている」と力強くコメント。

 また、「乗っていると、リズムや脚の出し方、フットワークの軽さ」で強さを感じるという先生。「だから、いつも自分が乗っているやろ?」とニッコリ。

 藤原先生に認めてもらった能力を、そろそろ発揮してもいい頃。ここは、一発に期待しています!

 そうそう、一発狙いと言うならキョウワジャンヌでしょう。夏競馬で2連勝を決めた上がり馬です。

 しかし、飯田騎手は「連勝はしているけど、まだ素質だけで走っている感じ」と、いたって謙虚。

飯田騎手

 それでも、「競馬で他馬を交わすときの一瞬の脚が速くて、いいものを持っているを感じる」と、誰よりもこの馬の能力に期待しています。

 ところで、飯田厩舎では定期的に馬の歯の検査をしているんだそうです。馬の歯は大変丈夫ですが、痛んでしまうと飼い葉が満足に食べられなくなるのはもちろん、踏ん張りが利かなくなり、レースに影響を及ぼしてしまいます。

 そこで、先生の方針で検査は行われていると言うわけです。細かな心遣いですよね。

 さてさて、取材を終えた帰り、ユーイチに一言「夏は大活躍だったね」と声をかけると、「ツネちゃんもやろ?」と言われました。

 おそらく、僕のマラソンのことを言っているんですよね。でも、僕のは参戦というより挑戦。少しずつ走り続け、今度「おおさかマラソン」に参加することになりました。

 フルマラソンと聞いて「大丈夫か?」と心配するユーイチに、「じゃあ、パワーちょうだい!」とおねだりし、ジョギングパンツにサインを入れてもらいました。

 おおさかマラソンは、天皇賞・秋と同じ日なので、僕も馬に負けないように走ってきます。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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