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ロケットマンの血統背景を探る

  • 2011年09月30日(金) 12時00分
 最近の馬名は、フランス語やラテン語などを使って、なかなかおしゃれなものが多くなった。しかし、そのぶん喋りづらくもあるし、覚えづらくもある。どんなに強くなったところで、こんな馬はスターホースになれない気がする。

 そこへいくと、今秋のスプリンターズSに香港、シンガポールから遠征してきたロケットマン、ラッキーナイン、グリーンバーディーは、実に単純明快。馬名はこうでなくちゃいけない。

 香港馬やオセアニア馬のスプリント部門の強さは、過去10年のスプリンターズSの優勝馬を見ても明らか。サイレントウィットネス、テイクオーバーターゲット、ウルトラファンタジーの3頭が勝っている。

 日本はクラシックを意識した配合に重きを置くし、育てる側も2000〜2400mを目標にするから、スプリント部門はどうしても層が薄くなる。この差が、スプリンターズSの結果にはっきりと出ている感じだ。

 ロケットマンの所属はシンガポールだが、生産はニュージーランド。一見すると、これで短距離馬かという血統構成だが、父は豪マイルGIを2勝しているし、母も短距離馬だった。また近親にはエボニーグローブ(AJCダービー)ら南半球の活躍馬が多数出ている。

 確かに父や母の父はなじみが薄い。しかし単なるマイナー血統の寄せ集めではなく、かなりしっかりした血統背景の持ち主だ。事実、シンガポール国内のみならず、今春はドバイゴールデンシャヒーンに遠征し、みごと勝利を飾った。アジアを代表するスプリンターに昇りつめたと言っていい。

 残りのラッキーナイン、グリーンバーディーも、能力の高さは前走のセントウルSで実証済み。したがって遠征馬3頭は、みな無視できない。

 迎え撃つ日本馬の筆頭格は、ダッシャーゴーゴーだろうか。しかし、この4頭の組み合わせだと配当的に妙味がない。前走で復調の気配を見せたビービーガルダン、フィフスペトルあたりを絡めて、馬券を買ってみようと思う。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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