本年度版の新しい『血統辞典』を昨日書き終えた。
今作の特徴としては、まず「ハイラップ指数」が登場したことが挙げられる。これは前作で登場した「高速上がり指数」と対になる指数で、芝でのハイペース時の、種牡馬のパフォーマンスを表している。
他の指数と同様、50が平均で、これをを下回るとハイペース適性が低く、上回るとハイペース適性が高い。超ハイペースでの数字を指数化しているので、基本的には短距離でのハイペースが基準となる。
この数字と距離変更時の成績を見比べることで、競馬の新たな側面が見えきて興味深い仕上がりになった。そこで、その構造を今回は見てみようと思う。
基本的にハイラップ指数が高いと、短縮適性が高くなる。
Mの基本として、馬は前走の記憶との関係性で走っている。ということは、ハイペースで強い馬は、前走より速い流れになりやすい距離短縮の適性が高くなる可能性が高い。
前走より速い流れにも違和感なく付いていけて、最後に短縮で得た体力を活かせるわけだから、それは有利だろう。
例えばアグネスデジタルのハイラップ指数は62S。50を軽く超え、ハイペースの適性が極めて高い。
そして末尾のSだ。これは短距離のハイペースでより強いことを表す(その逆がLで、中長距離でのハイペース適性が高いことを表している)。つまり、ハイラップ指数62Sのアグネスデジタルは、短距離のハイペースに極めて強いわけだ。ということは、短縮適性も高いはずだ。
そこでアグネスデジタル産駒の芝1200mへの短縮を調べてみると…、何と! 単勝回収率191円とベラボーな数字である(休み明けを除く)。もちろん複勝回収率も90円と高い。
ブレの少ない複勝回収率で見てみると、芝1200mへの短縮が90円、1400mへの短縮が119円、1600mへの短縮が113円だ。実に1200m〜1600mの芝短距離への短縮すべてで、複勝回収率90円を超えるという圧倒的な安定感である。
3連複には、アグネスデジタルの芝短距離への短縮は外せないと言えるだろう。
単に芝1200m適性が高いだけではないことは、同距離での複勝回収率を見てみればさらに明白だ。
同距離では芝1200m80円、1400m70円、1600m90円となっている。ハイペースで強いだけに数字は高いが、短縮の数字と見比べると、どの距離も1割近い数字ダウンが見られる。やはりハイラップ指数が高いと、短縮適性がより高まるのである。
だが、同じハイラップ指数が高い馬でも、短縮とリンクしない種牡馬も数は少ないがいる。その種牡馬を見ることで、種牡馬の性格、すなわちM3タイプが実にクリアな形で見えてくるのだ。
(来週につづく)