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ハイラップ指数(2)

  • 2011年10月12日(水) 18時00分
 基本的にハイラップ指数が高いと短縮適性は高くなる。

 ハイペースの適応力が高いのだから、前走より距離が短くなってペースが上がりやすい短縮にも、スムーズに激流に対して対応できるからだ。

 ところが、たまにハイラップ指数と短縮がリンクしない種牡馬がいる。

 例えばアドマイヤコジーンだ。

 血統辞典によるとハイラップ指数が60とかなり高い。それなのに(しかも末尾にLが付いていないのに)、芝短距離への短縮があまり良くないのだ。

 データのブレが少ない複勝回収率で見てみると、芝1200mが55円、芝1400mが60円、芝1600mが11円とかなり低い。

 別に芝短距離が苦手なわけではなく、距離変更のない同距離では芝1200mが73円、芝1400mが121円、芝1600mが144円と、かなり高い数字を叩き出している。

 芝のハイペースに強いのだから、芝短距離で強いのは当たり前の話だ。

 そらなら、普通は短縮が一番回収率が上がりやすい競馬の世界で、なぜこれほどハイラップ指数が高い種牡馬の、短縮成績が冴えないのか?

 それは、アドマイヤコジーン産駒が、M3で言うL系であることが大きい。

 距離が短くなって、流れ激化で揉まれて嫌気が差すわけだ。ハイペースで強いのに、その強みを活かす前にレースが終わってしまうというわけである。

 ここ1年で芝1200mを短縮ショックで3着以内に入った馬は2頭。その2頭をちょっと見てみよう。

 まずは記憶に新しい9月に行われた2歳オープンのカンナSに出ていたブランダムール。前走が1400mで200mの短縮ショック。そこで3番人気2着した。

 このレースは11頭立てと少頭数で揉まれるリスクが少なかった。レースでは内枠ということで揉まれて道中下がる場面があったが、最後は上手く外に持ち出すことでスムーズに追い込んできたのである。

 もう1つのレースは昨年11月の2歳500万に出ていたドリームバロンで、7番人気1着と激走した。

 やはり7頭立てと少頭数。しかも後方2番手に下げて、最後に大外に持ち出す騎乗と、全く揉まれることなくスムーズに競馬が出来ていた。

 揉まれさえしなければ、もともとハイラップ指数が高いアドマイヤコジーン産駒。カンナSが前半33.7秒、ドリームバロンが前半33.9秒という3ハロン34秒切りの激流で連対して見せたのである。

 ところで、この「揉まれ弱いがハイラップで強い」という性質から、アドマイヤコジーン産駒には、「短縮で弱い」ということ以外に、さらに極めて興味深い馬券的な特徴が導き出されている。

(来週につづく)

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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