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ハイラップ指数(3)

  • 2011年10月19日(水) 18時00分
 先週は、揉まれ弱いのに芝のハイラップで強いために導き出された、アドマイヤコジーン産駒の馬券的な特徴を解説した。

 これは、前走ダートから今回芝に替わるという「ダートから芝」のショック適性である。単複でともに100円(休み明け含む)を超えるという、高い回収率なのだ。

 今年の夏に芝1200mで二桁人気の超人気薄で馬券圏内に大激走した馬はマスターディライト、ステルミナートの2頭。この2頭は、ともに前走がダートだったのだ。そして、今回の芝1200mでは、やはりともに前後半のラップ差が2秒以上あるというハイペースだった。

 ハイラップ指数が高いのだから、芝短距離のハイペースで激走するのは当たり前の話だ。だが、ハイペースだと揉まれる心配がある。その危険性に対する処方箋として、ダートからのショックが実に効果的に作用するわけだ。

 ダート短距離はハイペースで展開されることが多く、しかも砂が飛び散る。芝のハイペースより遙かに精神的にはタフなのだ。そのため、ダートから芝に替わると、砂が顔に当たることもなく走りやすいため、馬場をスイスイと精神的に何とも楽に競馬できるわけだ。

 前走の辛い感覚から、今回の楽な感覚に向かわせるというショック効果は、前走より長い距離を走らせてタフな経験をさせる「芝からの短縮ショック」でも期待できるのだが、決定的に違う点がある。

 それは、前走のペースだ。

 もともと、ダートの短距離ならかなりハイペースなので、芝のハイペース適性の高い馬にとっては、芝替わりはむしろペースダウンに感じることさえある。これが同じ芝からの短縮では得られない効果だ。

 ましてアドマイヤコジーン産駒の場合は、芝の方がダートより成績が良いという、芝血統である。前走よりハイペースでも楽に追走できるのは間違いない(しかし、芝適性が低かったり、芝ハイラップ指数が低いと、芝替わりで追走に嫌気が差す確率が高まり、ショック成功率は下がりやすい)。

 このような理由で、揉まれ弱いが芝のハイペースに強いというタイプは、ダートからの馬場替わりショックがハマまりやすいのである。

 もちろんその代償として、アドマイヤコジーン産駒の、芝からダートの馬場替わりショックの成績は散々なものになっている(そのため、今年度版の『血統辞典』におけるアドマイヤコジーン産駒の馬場替わりオプションは相殺されて「C」となっている)。

 アドマイヤコジーン産駒自体はショック療法に対する食いつきがそれほどいいわけではないので、余計にそういう傾向におちいりやすいのだ。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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