この件について書こうかどうか迷っていたのだが、内田利雄騎手本人が本サイト19日付の『ちょっとピンクな話』で「ちょっとピンチな話」というタイトルで書かれているので触れてみることにする。
この件とは、10月9日の盛岡第5レースで内田騎手のワンダーフジが直線まで先頭を走りながら、内から他馬に差し切られ、それが騎乗法不適切と判断されて、10日間もの騎乗停止になったことだ。
映像を見ると、たしかに内田騎手は直線で外ばかり気にしていて、その隙に内から一気に差し切られている。10日間の騎乗停止と、当日その後のレースの乗替りはたしかに厳しいと思うが、見方によっては故意に負けたととられてもしかたのない事象だけに、こうした厳しい処分となったのだろう。
今回指摘したいのは、内田騎手の騎乗ぶりや厳しい処分ではなく、それらがきちんとファンに伝えられたのかどうかということ。
この日、ぼくは夕方だったか夜だったかにツイッターで話題になっているのを見て、初めてこの件に気付いた。ネットで書いている人たちも「不適切な騎乗があって乗替りになったらしい」ということ以上に情報がなく、さまざまに憶測を呼んでいた。
競馬場にいたり、ネット中継をリアルタイムで見ていれば、おそらく乗替りになったことはアナウンスされたのだろう。馬券を買う人が競馬場や専用場外発売所がほとんどだった時代ならそれでいいかもしれない。しかし今は地方競馬でもネット投票がかなりの割合を占める時代。中には馬券を携帯電話などで買って、結果はあとで見るという人も少なくないはずだ。そうしたファンにとって、落馬でもないのに内田騎手が突然乗替りになったことや、翌日から騎乗停止になったことは、ちゃんと伝わっていたのだろうか。
岩手競馬の公式サイトでそれが公表されたのは、「平成23年度 第11回盛岡競馬後半(10月8日〜10月10日)の出来事」として、連続3日間の開催が終了した翌日の11日になってから。こうした制裁や乗替りについては、開催単位ではなく、1日単位で発表できないものだろうか。
そして発表された乗替りと騎乗停止の理由も、「5号馬の騎手内田利雄は騎乗法不適切のため騎乗停止」と書かれているのみ。どこの場面の何が不適切だったのか、もう少し詳しい説明がないと、ファンは納得できないのではないだろうか。
今回はたまたま内田騎手が自身のコラムで経緯を詳しく明かしてくれたが、「騎乗法不適切」といういかにも事務的な説明だけでは、ファンにしてみれば何があったのかのはわからない。
さらにこれは以前から気になっていたのだが、地方競馬全国協会の「本日のレース情報」では、馬の取消・除外については簡単にその原因が示されるが、騎手の乗替りについては、誰が誰に乗替るのかが示されるだけで、その理由については示されていない。ネットで馬券を買うファンにとっては、枠順や馬柱を見るためもっとも頼りにしているサイトだけに、乗替りなら、その理由についても示してもらいたい。