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高速上がり指数(2)

  • 2011年11月02日(水) 18時00分
 最速上がりを出した馬が連対するレースと予想しても、いつも速い上がりを出す馬が今回も連対するとは限らない。これまで速い上がりを計時している馬が、今回も速い上がりを出すとは限らないのだ。

 たとえばディープインパクト産駒。高速上がり指数は59と抜群に高い。しかも↑が付いている。上がりが速くなればなるほど、期待値が上がるという、高速上がりの申し子のような種牡馬だ。

 しかし、これは諸刃の剣になる。物事には常にプラスの面もあれば、マイナスの側面もあるのだ。

 これはMの考えの根底に流れていることであり、だからこそ人気馬が消えて、穴馬券が獲れるわけである。

 高速上がり指数に↑が付いているということは、逆に重いレース質になると、最速上がりを出す馬が連対するような差し競馬でも、連対できないということになる。

 先週解説に出てきたトーセンラーの場合も、同じことがいえる。

 きさらぎ賞で上がり33.4秒という超速上がりでオルフェーヴルを破った馬だ。しかし、続く皐月賞では、最速上がりを出したオルフェーヴルが勝つ差し馬独占の上がりの競馬になるも、7着に凡走。後方から差しに徹した割に、上がりは5位だった。

 これは皐月賞がタイトなレース質になったために、レース上がりが35.3秒もかかり、勝ったオルフェーヴルが計時した上がりでも34.2秒かかったため、高速上がり指数に↑の付いているディープインパクト産駒の欠点が出てしまった形になる。きさらぎ賞と同じ京都で行われた菊花賞でも、同じ理由で3着に敗れた。

 仮に速い上がりを出した馬が順番に連対するようなレースであっても、レース質に合わなければ、得意の高速上がりを出せないケースもあるわけだ。

 逆に考えれば、高速上がり指数が低いのに、よく追い込みで好走している馬は、タフな差し競馬ではかなりのプラスポイントになるといえる。

 この秋のGIでも、菊花賞を制したオルフェーヴルの父ステイゴールドの高速上がり指数は38と低い。その馬が高速上がりの神戸新聞杯を制したわけだから、よりタフな流れになりやすい菊花賞でパフォーマンスが落ちるとは考えられない。かなり好走確率の高い人気馬ということになるだろう。

 ハイペースの追い込み競馬になった天皇賞も、高速上がり指数の低いジャングルポケット産駒トーセンジョーダンが差し脚のよさで制した。しかもジャングルポケットの高速上がり指数は39とかなり低いのに加え、ご丁寧に↓までもが付いている!

 先週述べたように、この矢印は性格を表す重要なファクターになる。上がりが速くなればなるほど、ジャングルポケットは期待値が下がる種牡馬。

 だからこそ、当日の状況によって、もっともも有利な馬になったのだ。

(来週につづく)

※高速上がり指数…超高速の上がりに対応できるかを表す指数。50が平均。主に芝1200m以上でレースの上がりが34.0秒未満の決着時のデータによって指数化している。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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