ロジータ記念(11月9日　川崎　サラ3歳以上牝馬　定量54キロ　地方競馬交流　南
関東SI　2100m)

「ロジータ記念」は平成2年新設、ロジータ引退の翌年に間髪を入れず創られた冠レース。改めて彼女の“名牝度”“女傑度”、さらに地元川崎関係者(ファンを含め)の愛着と期待…を実感する。

　条件は創設当時からほぼ変わりなく(今年から地地区交流)、3歳牝馬、地方馬限定、定量54キロ、距離二千〜二千百。ただロジータに匹敵、連想させる名馬は、22年間いまだ出現しておらず、このあたり「ハイセイコー記念」同様のジレンマというべきだろう。

　ヒカリカツオーヒ、ヤマノリアル、ラヴァリーフリッグ、それに近い存在も、正直古い話になってしまった。近年で意外、残念といえば18年チャームアスリープ(三冠牝馬)。その春圧倒的な強さで三冠(統一GII・関東オークス含む)を制したものの、以後体調を崩し万全で臨めず、結果マキノチーフの強襲に涙をのんだ(3/4差2着)。

　さて今年。実績断然クラーベセクレタが、あえて勝ちにこだわる形で(先週・JBCレディス回避)登場する。どう乗ってどう勝つか。ポスト・ロジータ…その意味も含め注目したい。

(1)…波乱含み。1人気[2-3-0-5]、2人気[3-1-4-2]、3人気[1-1-2-6]。1人気の信頼度はまずまずだが、昨年ショウリダバンザイ→ハーミアなど、逆転のケースも少なくない。

(2)…4場所拮抗。船橋＝5勝、2着5回は特筆できるが、川崎＝2勝、2着4回、大井＝2勝、2着1回、浦和＝1勝だから断然でもない。昨年は前述、ショウリ→ハーミア、大井勢のワンツーだった。

(3)…成長株。全馬54キロ別定からは実績上位馬有利だが、結果的にそうでもない。B1〜C1、格下の成長株が過去10年で7頭連対。JRAからの転入馬も強く、19年トキノミスオースなど優勝2頭、2着1回。

(4)…好位差し。逃げ＝4、先行＝6、差し＝9、追込み＝1。スローになりやすい川崎二千百ながら意外に差し馬も健闘している。ジョッキーに注目すれば、過去10年中2勝、4着2回の的場文男騎手。

※データ推奨馬
　▲ハートゴールド…過去の傾向、今年の勢力図、ズバリという穴馬が見当たらないが、船橋所属の成長株(鞍上・本橋J含め)、先行差しの自在性で同馬をとった。父ゴールドヘイローは、特徴、適性がつかみづらい反面、意外性の怖さがある。

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◎クラーベセクレタ 戸崎
○ナターレ 的場文
▲ハルサンサン 今野
△リアライズノユメ 左海
△ハートゴールド 本橋
△トーセンノーブル 張田
△ラカンパーナ 石崎駿
　マルヒロブライティ 森
　ゴールドルチル 山崎誠

　前述通り、クラーベセクレタがどう勝つかというレースになった。「羽田盃」→「東京ダービー」を圧勝でクリア、続くGI「ジャパンダートダービー」も3着(入線)だから、“二冠牝馬”ではなく、牡馬を含めた世代最強。正直、その出走自体が“場違い”にも見えてしまう。

　がしかし、ごく冷静、客観的に思い直せば、今回「ロジータ記念」も南関東SIであり、1着賞金2000万円。オーナーサイド、厩舎サイド、勝ちにきて(実をとりにきて)、やはり自然なことなのだろう。

　もう1つ、クラーベ陣営には、ここで川崎コースを経験させる狙いがありそうだ。統一牝馬G、川崎には「エンプレス杯」「スパーキングレディーカップ」制すべき目標がいくつか並び、さらにGI「川崎記念」も控えている。今回はその布石となるかもしれな
い。

　おそらく当面のライバル、ナターレを道中マークして進み、3〜4コーナーひと捲り。クラーベ自身、パワーと持久力を豊かに備え、本来長めの距離が合っている。

　ナターレは、牡馬相手に「クラウンカップ」「戸塚記念」を逃げ切ったクロフネ産駒。通年レベルなら3歳最強牝馬の評価が当たり、常に俊敏かつ粘り強いレースをみせる。対クラーベ、相手に大きなミスがない限り逆転まで難しいが、ホームの利と上昇度、好勝負の可能性は十分浮かぶ。

　▲ハルサンサンは、同世代牝馬にあってクラーベに次ぐ瞬発力。ただし父サウスヴィグラス、距離の限界はありそうで、スローにかかってしまうと案外伸びない。

　逆にデータ欄で推したハートゴールドは、キャリアを積むごとに器用さを増し、前々走二千もスムーズな折り合いで結果(4着)以上に内容がよかった。

　2歳時「エーデルワイス賞」など交流Gを2勝したリアライズノユメ(今回・船橋転入)は、以後成長力に微妙さがある。

　以下、前走TR二千を勝ったトーセンノーブル、同2着マルヒロブライティ。ラカンパーナも、デビュー時の評価(3連勝・優駿牝馬1番人気)を思い起こせば、見せ場以上がそろそろほしい。