誰にだって長所もあれば短所もある。なるべくなら、その長ずるところを貴び、ずっと見続けてほしいと願うのだが、どこか自分の長所なのかわかりずらいものだ。だから、それを指摘してくれるものの存在は大きい。
長所をほめられることで自覚できるし、やる気も出て向上心もついてくる。どこが自分の長所なのかを知るか知らないかでは、自ずと生き方も違ってくるのではないかとさえ思う。
逆に、短所ばかりあげつらわれると、誰だってくさってしまう。短なるところはよく自覚しているもので、それに追い打ちをかけてはほしくない。なにか、伸びる力までそがれていくようでやるせないのだ。
長所をほめて短所をとがめず、人生いたるところ、この心を大切にできたらいいのだが。歴史上、成功者と言われる者の多くはこの心を持っていたように思える。
大きく競馬の中に人生を見ると、この捉え方もそこに生きている。長所と短所は競走馬にだってある。長所はどう伸ばすかだし、短所はどうカバーして克服するか、常にその課題に取り組んでいるようなものだ。
競走馬をどれだけ理解しているかで、その育て方もわかってくるし、目指す目標もはっきりしてくる。短所をカバーして長所を強く意識することで、戦う場が見えてくるので、それによってレースのローテーションもはっきりしてくる。
日々見ているレースのひとつひとつの条件と、そこで勝ち抜いていく馬たちとを結びつけていくと、この先の戦う道すじが見えてくるのだが、さらに言えば、勝因や敗因からその馬がはっきり見えてもくる。それらをどう見つけていくかが競馬の面白さでもあるのだと思う。
長所をどう伸ばしてステップアップしているか、短所をどうカバーして走らせているか、自分に置き換えて馬たちの成長の歩みを発見する、それもひとつの競馬の見方だ。