前回のこのコラムでは、12月23日の開催をもって廃止となる荒尾競馬について触れ、「年度末の3月までは佐賀で競馬が続けられるようにしてほしい」と書いた。
が、間もなくそれはちょっと恥ずかしい提案となってまった。
7日、荒尾の3名の調教師が1月1日付けで佐賀に移籍することが発表されたのだった。荒尾にとどまらずとも、最後の開催のわずか1週間後には佐賀に移籍できるとは、なかなかに素早い対応だったと思う。
さて、1週間過ぎてしまったが、JBCについて振り返っておきたい。
11回目を迎えたJBCには牝馬によるレディスクラシックが新設され、そのレディスクラシックとスプリントがレコード決着となった。大井競馬場ではこれまで1800メートルの舞台で一流馬が参戦する大レースがほとんど行われてこなかったため、レディスクラシックがレコードとなったのはそれほど驚かなかったが、スプリントまでコースレコードを更新したのにはちょっと驚いた。一方、レコード決着とはならなかったものの、JBCクラシックで驚いたのは、馬連複が2強対決で元返しとなったこと。スマートファルコンがトランセンドを1馬身差でしりぞけての勝利。競馬に絶対はあるのか、とも思える結果だった。
レースそのものは、いずれもが非常にレベルの高い内容。かつてダートの競馬は、芝よりも一段も二段も格下の存在だったが、中央と地方の交流が盛んになってから16年、JBCがスタートしてから10年、ダート競馬もここまで来たかと思うと感慨深い。そう確信できるのは、やはりトランセンドのドバイワールドC2着があってのことなのだが。
JRA所属馬はダート路線でも世界レベルになった反面、地方所属馬はだいぶ置いていかれたなあ、というのも正直な感想だ。
今回、フリオーソの回避は残念だったが、JBCの3レースで地方馬が互角の勝負になったといえるのは、スプリントでコンマ2秒差の4着だったラブミーチャンのみ。ほかでは、レディスクラシックでブラボーデイジーにやや強引に競りかけられたエーシンクールディ(9着)はちょっとかわいそうだったか。そしてクラシックに至っては、JRA勢の上位3頭と、4着以下はまったく別のレースをしているかのようだった。
以前のダートグレードなら、どこかで展開がまぎれれば地方馬にもチャンスという場面がたまにはあったが、近年はそれもほとんど期待できないほどに力の差が広がってしまった。
今回のJBCは、ダート競馬のレベルが上がったことには非常に感心した反面、中央・地方の格差については、さてどうやってこの差を埋めていったらいいものかということも考えさせられた。
地方で行われるダートグレードの出走枠の問題については、このコラムに限らずさまざまなところで書いてきたが、見方によってはレースや馬券として成り立っていないところまで来てしまった今、ダートグレードのあり方については、あらためて考え直す必要があるのではないか。