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阪神JF、気になるキンチェム

  • 2011年12月08日(木) 18時00分
 今週は2歳牝馬GI、阪神JFですね。若い牝馬にとっては、社交界デビューするような初の大舞台。阪神1600mでの乙女たちの激戦を期待して、見ている僕たちもドキドキ、ワクワクしますね。

 まずは、女帝ブエナビスタの妹ジョワドヴィーヴル。

 担当の山口厩務員は、「デビューのときは、少し外にふくれたけど、鋭い脚を発揮させて楽々抜け出した。強い競馬をしてくれたよね。まだ若いのでフワフワしているところはあるけど、ユーイチがしっかり調教してくれているから、よくなってきたよ。そのユーイチが伸びしろがあって、どれだけ成長するか楽しみだって言ってくれているんだ」と嬉しそうに話してくれました。

 ちなみに、普段はとても大人しいのに、運動に出ると元気一杯になるんだそう。また、パドックでも騎手が跨るまでは「私はこんなに元気よ!」とアピールするんだそうです。

 そんなところは、まだ2歳の女の子らしいお転婆ぶりだなと感じました。可愛いです。

 今の状態は、「1回使ったことで、よくなってきた」と山口さんは言いますが、力が発揮できる状態だけに、心配なのは「1勝馬なので、抽選がね〜」とのことでした。

 血統もよく、これまでのレースぶりからもファンの人気の高い馬ですから、なんとか抽選を突破してほしいですよね。

 ところで、今回のレースは若手調教師の管理馬の活躍が期待されますよね。なかでも、牧浦厩舎のプレノタートは、これまで5戦と経験豊富。

 牧浦先生も「使いながらセンスがよくなってきている」と言うだけに楽しみな1頭です。

「走るときに少し頭が高いから、あまりフォームはよく見えないかもしれないね。でも、そこを佐藤騎手が上手く乗り込んでくれているんだよ。だから、安心しているんだ。これまでに2勝しているけど、どちらも1400m戦だったでしょ。だから、あと1ハロンをどう乗るかが鍵だよね。でも、夏の疲れはないから」(牧浦師)

 先週の追い切りでは11秒台をだし、すでに臨戦対戦は整っているプレノタート。ですから輸送も心配ないですし、なにかやってくれそうな予感がします。

 友道厩舎のラシンティランテの前走は、いい脚を使っていましたよね。あの勝ちっぷりは印象深いものでした。友道先生も「能力の高さをアピールできた」と愛馬の走りを讃えました。

ラシンティランテ

 また、今回のレースに関しては「前走で仕上げてあったので、今日の追い切りは息を整える程度にしました。坂路でしっかり調教してきたから、阪神の坂も大丈夫」と自信ありな様子。

 たしかに、洗い場で見るラシンティランテのトモは高くて立派。これって、まだまだ成長するってことなんですよ。

 それに、筋肉の固まりのような、バネのありそうな馬体をしていますし、脚がスッキリとしてきれいなんですよ。これは、腱がが強そうですね。友道先生が「どこまでやってくれるか、楽しみです」と期待をこめて言うのが分かるなと感じました。

 さて、栗東トレセンでは、もはや当たり前の光景となった関東馬の栗東滞在。今回は手塚貴久厩舎のアイムユアーズがやってきています。

アイムユアーズ

 前走ファンタジーSでは、目の覚めるような末脚を発揮し、見事な刺しきり勝ちをおさめましたね。その後、美浦には帰らず、ずっと栗東住まいを続けていますが「環境に馴染みやすい馬なので大丈夫」と担当の佐藤厩務員は言います。

 ただ、関東馬用の滞在馬房周辺は静かなので、たまに寂しがっているような仕草をすることがあるそうです。

 たしかに、顔も甘えん坊さんだなって感じの可愛い顔なんですよ。でも、佐藤さん曰く、気の強い一面もあるんだとか。

「競馬に行くと、気合が入ってきてね。気の強さが出るんです。でも、それが競馬での結果につながっているんでしょうね」(佐藤厩務員)

 ここまで、一度も馬券圏内を外したことのない優等生ですが、少し腰が弱いところがあったんだそうです。でも、時間をかけて運動をすることで、それも改善してきました。

 水曜には美浦から林助手がやってきての追い切りでしたが、先週すでにやっているということで今週は坂路を流す程度に留めました。それでも、52.3-13.1秒と好タイム。

 手綱を握った林さんも好感触を得たようで、動きもスムーズで、追い切り後の息づかいも良好とのことでした。

 今回も馬券圏内といわず、GI制覇を目指して頑張ってほしいですね。

 さて、今週の僕の気なる1頭はエイシンキンチェム。

 担当の川辺さんが「こんな娘がガールフレンドだったら大変かも」とい言うほどの元気娘は、今週和田騎手を背に最終調整を行いました。

 坂路を52.8-12.2秒とタイムもいい上に、息づかいと動きも抜群でしたね。

「飼い葉をしっかり食べるので丈夫なんだよ。どんな競馬もできるから大丈夫。ホンマ、根性娘やから!」と川辺さんが太鼓判を押す馬だけに、今回のレースも楽しみです。

 そのほかの出走馬も、来年のクラシックを占う一戦ということで、力が入っていました。2歳牝馬女王の栄冠は、どの馬のものに!? 週末が待ち遠しいです!

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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