先週のGIII「鳴尾記念」は、3歳馬の上位独占だった。出走していた4頭が4着までを占めている。さすがにたまたまの力関係もあるが、急速に世代交代(勢力図の変化)が進みつつあるこの時期、狙いの中心は3歳馬に定めたい。
ましてここはハンデ戦のGIII。よほどの好成績でもつづけていない限り、3歳馬のほうがハンデに恵まれることが多い。ハンデ戦で行われた過去5年、連対馬10頭のうち、過半数の「7頭」が3歳馬である。ローカル扱いのハンデ重賞とあって、コース巧者のベテランの出走が多いから、今年の場合、3歳馬は「オールアズワン、ダノンバラード、ユニバーサルバンク」のたった3頭のみ。3歳が狙いというありがちなパターンを信じすぎては危ないが、少なくともこの3頭がそろって凡走する力関係ではないだろう。
11月12日の「アンドロメダS2000m」では、約半年ぶりの不利と、直線、ちょっと狭いインに入って今回もライバルとなるユニバーサルバンクに0.2秒差(半馬身+半馬身)の3着にとどまったダノンバラードが中心。ここまで[2-0-3-1]。キャリアこそ浅いが、ラジオNIKKEI杯2歳S勝ちと、皐月賞3着がある。ちょっと上品すぎるというか、厚みのない体つきだが、ディープインパクト産駒とあってあまり筋肉モリモリの迫力体型ではないのは仕方がない。それを長所にできる条件を選べばいい。
平坦コースこそ最適と思える。祖母アンジェリックソング(父ヘイロー)は、名繁殖牝馬グロリアスソング(シングスピールなどの母。日本ではダノンシャンティの祖母)の、全妹にあたる牝馬。この一族、あまりいわれないが、典型的な平坦血統でもある。ダノンバラードはヘイローの3×3でもある。
相手は、当然ユニバーサルバンク。同馬は同厩のレーヴディソールやブエナビスタの調教相手になってどんどん力をつけているが、前回はユニバーサルバンクが1kg軽い54。今度は同じ56kg。ダノンバラードには半年ぶりを1度使われた強みに加え、鞍上がデムーロ騎手に代わったプラスもある。技術うんぬん以前に、デムーロはその出発からして小回り平坦得意、当たり前のような「小倉巧者」でもある。
もう1頭、こちらは3歳ではないが、まだまだこれからの4歳馬エクスペディション(父ステイゴールド)は、休み前の2000m1分58秒3を筆頭に、小倉で4勝もしている。4分の3同血の兄には小倉を中心に活躍したツルマルヨカニセ(父ダンスインザダーク)がいる。父ステイゴールドの平坦適性は知られるが、この馬は牝系からして平坦のほうがずっといい。
デキのいいトップゾーン、ゲシュタルト、コース巧者サンライズベガを連の相手とするが、今回はやけに調子が良さそうな3歳オールアズワンが最大の穴馬だろう。この馬は3歳有利のパターンにぴったり当てはまる。