東京2歳優駿牝馬(12月31日 大井 サラ2歳牝馬 定量53kg 地方競馬交流 南関東SI 1600m)
「東京2歳優駿牝馬」は昭和52年新設。すでに33年の歴史を重ねる。第3回(54年)優勝ツキメリー(父シャトーゲイ)が、日本ダービー馬メリーナイスを出して以来、レースの注目度、評価が一挙に高まり、以後も、平成3年カシワズプリンセス(ネフェルメモリーの祖母)、9年ダイアモンドコア(ナイキハイグレードの母)など、“血を感じさせる重賞”として存在感を持ってきた。今年から南関東限定→地方交流と条件変更、顔ぶれはさらにグレードアップした印象がある。
もっとも総体的な傾向としては、その時点の完成度が決め手になるケースが多く、後に“名牝”と呼ばれるような馬はイメージほど勝っていない。近年は13年ラヴァリーフリッグ(2冠牝馬・かしわ記念2着)、昨年クラーベセクレタが目立つ程度か。ただファイルをめくり返し、一つ思い出した。昭和63年、あのロジータが3着に敗れていること。当時3戦2勝、3番人気。しかし大井初コースで無理には仕掛けず、今思えば当時鞍上・野崎騎手は、試走であり序走、感触を確かめる競馬に徹したのかもしれない。ともあれ、ここで再びロジータの名前をみたりすると、オールドファン(自分のことか)は何やらがぜん元気が出る。競馬とはやはり血のドラマ。このレースに期待するものはまさしくそれ(郷愁とノンスタルジー)で、今後は優勝馬=名牝、そんな図式になれば理想的だ。
(1)…人気馬。1番人気[6-1-0-3]。大敗もときおりあるが総体的には信頼できる。対して2番人気[2-1-0-7]と補完し切れた感はなく、3番人気も[1-0-1-8]と頼りない。
(2)…他地区馬優勢。川崎=3勝、2着5と優勢だが、これは有力馬が直前川崎に移籍したケースが多いためと推測できる。川崎(所属)狙いというより、道営で実績をあげた馬にまず注目。
(3)…ローレル賞組。総計38頭出走=3勝、2着3、3着3はアベレージを含め評価できる。ただ同レース自体のレベルは例年落差が大きく、今年の顔ぶれからは鵜呑みにもできない。
(4)…自在脚質。逃げ=4、先行=6、差し=8、追込み=2。潜在能力が高ければ脚質は偏りがない。一方他地区からの転入馬が強いのはキャリアの差か。ジョッキーでは戸崎騎手2勝。
※データ推奨馬
◎ロクイチスマイル…道営オープン。勝ち星こそ新馬のみだが、以後ハイレベルの経験を積み、前2走はGII〜GIII3、4着。今回南関東初戦で人気は盲点になっている。混戦向きの末脚に特徴。言わずもがなクロフネ産駒(とりわけ牝馬)は地方ダートに抜群の適性がある。
☆ ☆
◎エミーズパラダイス 戸崎
○ショコラヴェリーヌ 真島
▲エンジェルツイート 森
△ロクイチスマイル 服部
△クリヤマキアート 繁田
△アイキャンデイ 的場文
△ドラゴンシップ 佐藤博
アスカリーブル 江川
レイモニ ムンロ
レース史上、おそらく顔ぶれは最高レベル。中でもエミーズパラダイスには一枚別格の素質を感じる。道営2勝、ことごとく自然流の先行でワンサイド。前走も大井生え抜きの快速ビヨンザワールドを馬なりのままひと捲りで独走した。道営3戦2勝、当地重賞「フローラS=千七」完勝。現実に大井千六持ち時計が、エミーズ=41秒0、ドラゴンシップ42秒7=(ハイセイコー記念)だから能力断然というしかない。加速がついて重心が沈む迫力の走法。フサイチコンコルド×アグネスタキオンなら、ダート適性も含め堂々たるクラシック血統だろう。ポスト・クラーベセクレタ。エース・戸崎Jとともに王道を歩む。
相手本線はショコラヴェリーヌをとった。前走「ローレル賞」2着は、4コーナー6番手から一気の伸び。スタートでモタつき、それも水の浮く道悪を思えば、勝ち馬(ドラゴンシップ)を内容でむしろ凌ぐ。490kg台、心身とも逞しいゴールドアリュール産駒。今が成長期は間違いなく、直線勝負ならエミーズに肉薄できる。エンジェルツイートは道営2勝で登場。前走「平和賞」をあっさりと逃げ切った。初コース(船橋)、初距離(千六)を難なくこなし、単なるスピード馬とはひと味違う。半兄にオオエライジン(兵庫11戦10勝、前走兵庫ゴールドトロフィー3着)。こちらも来春クラシックを狙える大器だ。
ドラゴンシップは、「ハイセイコー記念」→「ローレル賞」連破、実績と完成度でリードする。ただ今回新顔のレベルが高く、時計面の比較でも楽観できない。厳しい競馬になって上積みがあるかどうか。改めて試金石の評価とした。データ推奨ロクイチスマイルは混戦向きで、馬券的にも妙味がある。以下、地元で巻き返すクリヤマキアート、差す競馬が板についたアイキャンデイ。ハイペースの差し較べになってレイモニが大穴。